投資用不動産を購入する場合、不動産投資ローンを利用するケースが多いのではないでしょうか。投資用不動産の物件価格は高いので、多くの方は自己資金のみで購入するのは難しいでしょう。ワンルームマンションのように比較的価格が安い物件でも、2戸3戸と買い進めていくなら、不動産投資ローンを利用するのが現実的です。

不動産投資ローンをうまく活用すれば、家賃収入からローンを返済できるので、用意できる自己資金が少なくても効率よく資産を増やすことができます。ただし、不動産投資ローンについて最低限の知識と注意点を押さえておかないと、物件を購入してからトラブルが発生する可能性もあります。

ここでは、物件を購入する前に知っておきたい不動産投資ローンの知識と注意点について解説します。

住宅ローンで投資用不動産を購入してはいけない

不動産投資ローンと住宅ローンは「不動産を購入する」という目的は同じですが、金利や融資条件が異なります。一般的には、住宅ローンのほうが金利は低く、融資が通りやすい傾向にあります。住宅ローンは契約者本人が住むことが要件になっているため、他人に貸し出して賃貸収入を得たり、売却益の獲得を目指したりする不動産投資ローンより貸倒リスクが低いと金融機関は判断するからです。

不動産投資ローンでは融資が通らないからといって、住宅ローンで投資用不動産を購入してはいけません。もし黙って住宅ローンで投資用不動産を購入したとしても、契約違反がわかれば一括返済を求められることも。金融機関のチェック体制は厳しく、仮に審査が通ったとしても、ずっと隠し通すことはほぼ不可能です。投資用不動産を購入する場合は、住宅ローンではなく不動産投資ローンを利用しましょう。

使っていないクレジットカードを解約し審査に備える

使っていないクレジットカードがある場合は、金融機関に不動産投資ローンの相談に行く前に解約しておくのがおすすめです。金融機関によっては、クレジットカードに設定されている利用限度額を借金だと判断する場合があるからです。
年収や勤続年数などの条件を満たしていても、クレジットカードをたくさん保有していると「多額の借金がある」と判断され、融資が通らない可能性があります。不動産投資ローンを確実に利用したいなら、使っていないクレジットカードは解約しておきましょう。

また、現在使っているクレジットカードの利用限度額を引き下げておくのも有効です。クレジットカードの利用額があまり大きくない場合は、必要な金額に合わせて再設定しておきましょう。

転職を検討しているなら、転職前にローンを組む

不動産投資ローンを組んで不動産投資を始めるなら、転職前がおすすめです。融資基準の一つに勤続年数があり、勤続年数が長いほど金融機関の評価が高くなる傾向があるからです。金融機関は安定収入を重視するため、勤続年数が長いことは優位だと言えます。勤務先の規模が小さく、収入がそれほど高くなくても、勤続年数が長ければプラスの評価を得られる可能性もあります。

しかし、転職すると勤続年数がリセットされてしまうため、転職して年収がアップしても、融資してもらうのは難しいケースもあります。勤続年数は3年以上が望ましく、転職すると不動産投資ローンを利用できるようになるまでに時間がかかります。不動産投資を始める予定があるなら、転職は計画的に行いましょう。

不動産投資ローンを組んだら生命保険を見直そう

マイホーム購入時の住宅ローン同様、不動産投資ローン利用者は、生命保険の代わりになる団体信用生命保険に加入できます。団体信用生命保険とは、契約者がローン返済中に死亡したり、所定の高度障害状態になった場合に、ローンの残債を肩代わりしてくれる保険のことです。団体信用生命保険に加入すれば、契約者に万が一のことがあっても、家族に借金がない投資用不動産を残せます。家族は投資用不動産から家賃収入を得ることができるので、経済的な不安は解消されます。

まとまった資金が必要な場合は、投資用不動産を売却することも可能です。不動産投資ローンを組んだら、今まで加入していた生命保険を見直すのがおすすめです。不要な保険を解約すれば保険料を節約できるので、節約できたお金を繰り上げ返済に充てるとよいでしょう。

住宅ローン控除は利用できないので注意

住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合は、住宅ローン控除が利用できます。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローン利用者の金利負担を軽減するための制度です。年末の住宅ローン残高に1%をかけた金額が、10年間にわたって所得税から控除されます(上限額:各年の所得税+住民税 住民税の限度額は136,500万円)。

しかし、不動産投資ローンの場合は、住宅ローン控除は適用されません。不動産投資ローンには、住宅ローンのような優遇措置はないので注意が必要です。

不動産投資ローンで金利負担を減らすには、繰り上げ返済が有効です。家計や運用の全体像も考慮する必要はありますが、少しでも支払総額を減らしたいのであれば、無理のない範囲で繰り上げ返済に取り組みましょう。