今、全国的に単身者世帯が増加しています。若い世代で単身者の比率が多いのはわかりますが、最近では50代以上の単身者も増加しているのです。

特に東京をはじめとする大都市では単身者比率の高さは顕著です。今後も大都市、特に中心部になればなるほど単身者世帯の数は増加していくものと予想されます。
長く安定した家賃収入を目的とする不動産投資において、入居者の傾向をつかむことはとても大切なことです。

今回は、今後の賃貸需要として押さえるべき「単身者」にクローズアップしていきます。

なぜ単身者が増えているの?

『国立社会保障・人口問題研究所』(※1)が発表したデータでは、日本の人口は今後減少していくものと予想されています。
また総務省が行った『国勢調査』(※2)の結果でも、一世帯あたりの平均人数は減少するとされており、今後、単身者世帯の増加が進んでいくことがうかがえます。

単身者世帯が増えている要因は、人々の生活スタイルの変化にあると考えられます。
女性の社会進出、晩婚化、離婚率の増加など、生活スタイルの変化とともに「結婚、家族」というものに対する人々の考えが変わり、その結果ひとりで暮らす単身者の数が増えているのかもしれません。

※1 『国立社会保障・人口問題研究所』
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/t-page.asp
※2 『国勢調査』
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka/kihon1/pdf/gaiyou1.pdf

単身者が多いエリアは?

税金や年金などが改定されるときには、それが標準世帯の暮らしにどのような影響を与えるかというような記事をよく目にします。ここでいう「標準世帯」というのは「夫婦と子ども2人」で暮らす一般的な家族のことを指しています。

しかし東京23区では、国勢調査によると標準世帯の割合が8.5%と低く、反対に単身者世帯の割合が49%と高くなっています。つまり東京23区では、2世帯に1世帯が単身者世帯であるということになります。

さらに23区内においては、特に山の手・副都心エリアで単身者世帯が多いという傾向があります。これは、都心部としての利便性やブランド力が影響していることも考えられます。
特に若い独身者(18歳以上34歳以下の未婚者)は大学や商業施設の多いエリアに集中しており、この世代の単身者世帯の割合は、単身者全体の50%以上を占めています。

不動産投資のターゲットは単身者!

これまで不動産投資に必要な物件選びにおいて、最も重要な要件は立地であることを述べてきました。ただし、いくら立地が良くてもその場所を求める入居者と賃貸する物件との間に、間取りや設備・仕様といった住環境の需給のズレが生じてしまっては借り手が集まりません。

今、好立地である大都市の中心、特に東京23区では、単身者世帯の数が増加しており、今後も増え続けるものと考えらます。逆にこれまで標準世帯といわれた家族世帯は減少し、都心の不動産投資のターゲットとしては懸念されるでしょう。あらためて不動産投資を考えるうえで、単身者をメインに考えてみるのも選択肢のひとつでしょう。

そして、単身者が入居しやすい間取りは、1K~1LDK程度が多いようです。広いに越したことはありませんが、部屋数の多い物件などは家賃が高くなったり、掃除が手間だったりと単身者は敬遠する傾向もありますので注意が必要です。

不動産投資をする際、入居者が借りてくれることが大前提となります。投資家自身が「住みたい部屋」と、実際の入居者が「借りたい部屋」は異なる場合があります。

あらためて、今後のニーズを察知しながら不動産投資を考える際、「単身者」というキーワードは踏まえておく必要がありそうです。