【年収300万円のケース】時間を味方につけてコツコツ運用
まずは年収300万円程度の方のための投資方法について考えていきます。年収300万円の手取り額は、およそ240万円程度ですから、月々の手取り収入は20万円ぐらいでしょう。
手取り収入20万円だと、貯金するのも精いっぱいで、投資に回すほどの金銭的な余裕はないかもしれません。しかし投資で大切なのは「時間を味方に付ける」ことです。
例えば、毎月3万円を5%の金利で複利運用します。
30歳から始めると60歳時点では約2,500万円に達しますが、同じ条件で45歳からスタートすると、60歳時点では約800万円程度にしかなりません。
15年早く始めるだけで、実に1,700万円もの差が生まれてしまうのです。
同じく金利5%で45歳から開始し、60歳の時に2,500万円の資産を築くには毎月の積立金を9万円以上に増やす必要があります。
30歳から始める場合に比べて3倍以上の額を、毎月積み立てていかなければなりません。少額からでもいいので、なるべく早く始めてコツコツ投資していくことが、将来的に資産を増やす秘訣なのです。これが時間を味方に付けるということです。
また投資には必ず「値動き」が伴います。早いうちから値動きに慣れておくことも肝心です。
投資経験のないまま退職を迎えた方が、退職金のほとんどを一度に投資に回し、大暴落して退職後の資金計画が大きく狂うというようなケースが後を絶ちません。
早いうちから投資を経験し、値動きに慣れておけばこうした失敗もしないでしょう。
年収300万円世帯の投資方法で有力な候補になるのが投資信託です。ほとんどの銘柄が1万円程度から購入できます。ネット証券の中には100円から買い付け可能なところもあります。
年収300万円世帯は取引手数料も安いネット証券を利用するのが賢明です。
また、少額投資非課税制度(NISA)は必ず利用しましょう。NISA口座を利用して得られた収益は非課税なのでお得に運用できます。
つみたてNISAを使ってもいいでしょう。低コストで長期の運用に適した銘柄があらかじめ厳選されているので、投資初心者でも銘柄選択に悩むことがありません。
【年収500万円のケース】お金の色分けを徹底して運用
続いて年収500万円世帯の運用方法を考えてみましょう。手取り収入は400万円程度だと思います。子どもができたりマイホームを購入したりする世帯は、このくらいの年収かもしれません。
この場合もやはり投資信託が有力な選択肢になります。NISAやつみたてNISAを利用しながら、毎月コツコツ運用していきましょう。
複数の投資信託に分散してもいいかもしれません。日本株に投資するものや日本を除く海外の株式に投資するもの、債券を主な投資対象にするものなど、商品の選択肢が豊富な点も投資信託のメリットです。
もし、余裕資金があれば個別株投資にチャレンジしてもいいでしょう。株式は通常単元株といって100株からの購入になります。
例えば一株当たりの株価が5,000円の場合なら、最低購入単価は50万円です。
単元株を購入するほど資金的に余裕がなければ、1単元に満たない「単元未満株」もあります。その場合は、「単元未満株」を売買できる証券会社を利用しましょう。
ただし、先述のように子育ての真っ最中である世帯の場合、子どもの教育費やマイホーム資金、車のローンなど、何かとお金がかかる時期です。</p.
近い将来、確実に必要になる資金は預貯金で確保し、投資は余裕資金で行ってください。「運用で元本割れしていて、子どもの学費が払えない」なんて事のないよう、資産を使途別に分ける「お金の色分け」は徹底してください。
【年収800万円のケース】不動産投資も選択肢の一つになる
最後に年収800万円世帯の運用方法を考えてみます。年収500万円の場合と比較したとき、少し余裕がある世帯も多いのではないでしょうか。
しかし、子どもの大学入学はこれからという人もおり、何かと出費がかさむ時期でしょうが、そろそろ自分の老後資金についても準備していきたいタイミングです。その場合は、やはり投資信託などでコツコツ運用していくのがいいでしょう。
一方、子どものいない人や、すでに子どもが独立した人の場合は、もう少し積極的に運用していきたいところです。
複数の投資信託を保有したり、個別株と投資信託を使い分けたりと、自分なりのポートフォリオを作ってはいかがでしょうか。
また、現物資産という選択肢もあります。特に30~40代であれば、退職まで時間がありますので、運用期間を長くとることができます。思い切って不動産に投資してもいいかもしれません。
代表的な選択肢としては、ワンルームマンションを購入し、それで賃貸経営する方法です。
購入の際には銀行から融資を受けます。家賃収入をローンの返済に回しつつ、リタイアメントする頃に完済してしまえば、あとはワンルームマンションという現物資産が手元に残ります。家賃収入は老後の余裕資金として活用できます。
住宅ローンを組む際には、団体信用生命保険へ加入します。
契約者に万一のことがあれば、ローンの残債はなくなり、遺族に家賃収入を原資とした定期収入の仕組みを残せます。
生命保険の代わりとしての役割を持つ点も不動産投資の魅力といえるでしょう。