少額投資でも不動産オーナーになれる?
会社員をしながら、副業でアパートやマンションなどの不動産に投資する「サラリーマン大家」が増えています。
しかし、現物不動産は価格が高く、自己資金で購入できない場合は金融機関の融資を利用することになるため、購入をためらう人も少なくありません。
不動産投資に興味があるなら、少額投資でも不動産オーナーになれる「J-REIT(不動産投資信託)」という仕組みもあります。
ここでは、J-REITの仕組みやメリット、リスクなどについて詳しく説明します。
J-REITの仕組みとは
J-REITとは、多くの投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設などの不動産を購入し、その賃貸収入や売却益を投資家に分配する金融商品です。不動産投資法人(J-REIT)から委託された関連会社が、実際の運用や管理等の業務を行っています。
収益の90%超を分配するなどの条件を満たすと、実質的に法人税がかからない仕組みがあるため、ほとんどの収益が分配金(株式会社の配当金に相当)として配られます。
また、現在の日本は金融機関から低金利で融資を受けられる環境もあり、分配利回りが比較的高くなっています。
J-REITは証券取引所に上場しているので、証券会社の口座を保有していれば取引を始められます。
順調に運用されていれば年1~2回分配金を受け取ることができ、株式と同じように売却益を得ることも可能です。
J-REITの投資対象・種類
J-REITの投資対象には、以下のような不動産があります。
・オフィスビル
・商業施設
・住宅
・物流施設
・ホテル
・ヘルスケア施設
不動産証券化協会の資料によると、J-REITの保有物件(2017年3月末時点)はオフィスビルが44.9%で最も比率が高く、次いで商業施設(19%)、住宅(15.9%)となっています。
また、J-REITの種類は投資対象によって以下の3つに分類されます。
・特化型(単一の用途の不動産に投資)
・複合型(2つの用途に投資)
・総合型(3つ以上の用途に投資)
たとえば、オフィスだけに投資をする銘柄は特化型、オフィスと商業施設に投資する銘柄は複合型に分類されます。J-REITに投資をするときは、投資対象を参考に銘柄を選ぶとよいでしょう。
現物不動産と比較!J-REITにはどんなメリットがある?
J-REITには、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。現物不動産への投資と比較しながら確認していきましょう。
・現物不動産よりも少額で投資できる
現物不動産に投資するには、価格が安い物件でも数百万円は必要です。一方、J-REITの最低投資金額は銘柄によって異なりますが、安い銘柄なら10万円以内で購入できるので、気軽に不動産への投資を始められます。
・利回りが高い
J-REITは収益のほとんどが分配される仕組みであるため、利回りが比較的高めになっています。不動産証券化協会の資料によると、2018年の分配金利回りは年率4%前後で推移しており、
都市銀行の定期金利(年率0.01%)に比べると、高い利回りを維持していることがわかります。
・物件管理に手間がかからない
現物不動産は物件を購入するときの手続きが複雑で、購入後も維持管理や入居者募集などが必要です。しかし、J-REITは運営会社が物件管理をしているので手間をかけることなく投資できます。
・簡単に売却できる
現物不動産を売却するときは、不動産会社に依頼して買い手を見つける必要があり、時間も費用もかかります。一方、J-REITはインターネットで簡単に売却できるので、急に現金が必要になっても早期に現金化が可能です。
・複数の不動産に分散投資できる
現物不動産は価格が高いため、個人が複数の不動産に分散投資するのは困難ですが、J-REITなら少額から複数の不動産に分散投資が可能です。1つの物件で空室が発生しても、分散投資をすれば他の物件の賃貸収入で損失をカバーできます。
メリットばかりではない!J-REITのリスクとは
J-REITには多くのメリットがありますが、実際に取引をする前にリスクについて理解を深めておくことも大切です。最後に、J-REITのリスクを紹介します。
・市場リスク
J-REITは証券取引所に上場しているため、毎日価格が変動し、取得時よりも価格が下落すると売却損が発生する可能性があります。また、保有物件の価格低下や空室による賃貸収入の減少により、分配金が変動するリスクもあるので注意が必要です。
・金利変動リスク
J-REITを運営する不動産投資法人は、投資家から集めた資金だけでなく、金融機関からの融資を利用して物件を取得しています。金利が上昇すると金融機関への返済額が増えてJ-REITの収益が低下し、価格や分配金に影響を与える可能性があります。
・災害リスク
地震や火災などの災害が発生して、J-REITの保有物件が被害を受けるリスクがあります。予測不可能な大災害などが起こると、価格や分配金に影響を与えるので、大きな損失が発生する可能性もあります。
・運営会社の倒産や上場廃止のリスク
J-REITを運営している不動産投資法人の倒産や、証券取引所が定める上場基準に抵触して上場廃止になるリスクがあります。J-REITに投資をする際は、銘柄の開示情報などから運営状況を確認しておくことが大切です。