米国では医師や弁護士と並ぶほど個人の人生に欠かせない存在「IFA」
「資産形成を始めたいけれど、何から始めればいいかわからない」「ネット証券で投資信託を購入したいけれど、担当者に相談できないのがちょっと不安」――。そんな悩みをお持ちの個人投資家にとって、強い味方となるのがIFAです。個人の資産形成における頼れるアドバイザーとして存在感を高めるIFAを紹介します。
いま個人の資産運用の世界で「IFA」と呼ばれる金融アドバイザーの存在感が高まっています。IFAとは「Independent Financial Advisor」の略で、独立系のファイナンシャルアドバイザーを指します。
特定の金融機関に属さず、中立的な立場から資産運用のアドバイスを行うお金の専門家といえばわかりやすいでしょう。IFA先進国の米国では、医師や税理士、弁護士と肩を並べるほど個人の人生における大切なパートナーとして認知されているようです。
日本でIFA制度がスタートしたのは2004年。「貯蓄から投資へ」の旗印のもと、政府主導で個人の資産形成の重要性が叫ばれる中、徐々に浸透していき、少額投資非課税制度(NISA)など個人向けの投資優遇制度が拡充してきたことで、IFAの存在感が増してきました。
「顧客目線を徹底している」ことが既存の金融機関の営業担当者との大きな違い
IFAは通常、証券会社と提携を結び、個人投資家に向けて投資信託など、金融商品の販売を仲介します。証券会社と提携しているとはいえ、それはあくまでも金融商品の販売を仲介しているに過ぎず、彼らが証券会社の営業方針に従う必要はありません。
複数の証券会社と提携することも可能なので、「グループ運用会社の投資信託」「販売手数料が高い商品」といった顧客のニーズとは直接関係のない、個々の証券会社が売りたいだけの商品を提案されるリスクが少ないといえます。
証券会社では多く場合、その時期ごとに積極的に販売すべき商品があるものです。IFAにはそうしたノルマはないので、顧客にとってはノルマ達成に向けた商品の不要な買い替えなどを提案される心配もありません。
また既存の証券会社は、異動や転勤などで、営業担当者が頻繁に変わるものです。そもそも証券会社で担当が付くのは、最低でも数千万円単位で運用する富裕層。それ以外の顧客は多くの場合、その時々で担当者が変わるものです。
その点、IFAは同じ担当者が中長期の目線で相談に応じてくれる点もメリットのひとつです。このようにIFAと証券会社の営業担当者との最大の違いは「顧客目線を徹底している」ことに尽きるといえるでしょう。
個人の資産形成に最適な投資信託 セミナーを通じた手厚いサポートも
IFAが仲介する金融商品には株式や債券、投資信託などがあります。その中でも多くのIFAが注力するのが投資信託です。
日本でも、IFAを業務サービスとして展開する企業が増えており、やはり投資信託に力を入れています。
ファイナンシャルスタンダードはその代表的な存在で、楽天証券と提携し、投資信託の中でも毎月分配型やテーマ型と呼ばれる商品は避け、実績のあるファンドマネージャーが運用するものを厳選して提案しています。
同じくIFA事務所大手のガイアは楽天証券、SBI証券に加え、ロボアドバイザーサービスのウェルスナビと提携。投資信託の仲介はもちろん、すでに投資信託を保有している層向けに、値下がりした投資信託を賢く見直すセミナーを開催するなど、投資信託を活用した資産形成を推進しています。
異業種からの参入として注目を集めるのが、総合出版社の幻冬舎グループによるIFA、幻冬舎アセットマネジメントです。同社も楽天証券やSBI証券、PWM日本証券などと提携し、複数の投資信託を使ったポートフォリオ提案などに力を入れています。
提携する証券会社や取り扱う商品は各社ごとに異なるので事前に確認する
個人がIFAを利用する際には通常、電話やホームページ経由で個別面談を申し込むところから始まります。ひと口にIFAといっても事業者ごとに提携する証券会社や取り扱う商品は異なります。契約前にどのような商品があるか確認しておいた方がいいでしょう。
また運用に対する方針やサービス内容も各社ごとに違います。定期的に開くセミナーなどに参加し、事業者ごとの特色などを事前に確認しておくのもいいかもしれません。
実際に面談が始まると、顧客の運用目的やリスク許容度などに応じて、ふさわしい資産配分や運用商品を紹介してもらえます。相談のみであれば無料のところが多いです。実際に金融商品を買いつける場合には、提携する証券会社に口座を開く必要があります。
手数料体系は各社によって異なります。商品を仲介するごとに証券会社から手数料を受け取るところもあれば、顧客の預かり資産残高に対して報酬を得るIFAもいます。
投資初心者はもちろん経験者も、何のしがらみもない中立的な金融アドバイザーであるIFAのアドバイスを受けながら中長期的な資産形成に取り組んではいかがでしょうか。
IFAの主なメリット
1.金融機関の営業方針に左右されず、顧客に寄り添った助言をする
2.助言内容は資産形成、資産運用、税務など多岐にわたる
3.投資セミナーなどを開催し、積極的に情報提供するIFA事業者も多い