賃貸OR購入、住宅費はどちらを選ぶのが正解?

人生を考える上で避けられない「住まい」の問題

マイホームの購入は、ライフプランを考える際の大きなテーマです。住宅は人生でいちばん高額な買い物といわれていますから、慎重にならざるを得ません。また、持ち家信仰が根強く残る一方で、気楽な賃貸住宅での生活を好む人もいます。本コラムでは、賃貸とマイホーム購入を比較し、住まいをどのように決めるべきかのヒントをお伝えします。

それぞれのメリットとデメリットを考えよう

賃貸と購入、どちらにもそれぞれメリットとデメリットがあります。

一般的に、賃貸物件のメリットは、気軽に引越しができる、ローン返済の負担がないなどです。デメリットは、家賃の支払いが一生続く、ファミリー向けの物件数が少ない、資産にならないなどが挙げられます。

一方、購入のメリットは、ローン返済後の金銭的な負担が少ない、資産になる、設備のグレードが高いなどがあります。デメリットは、住み替えが難しい、メンテナンス費がかかる、頭金が必要といったことが挙げられます。

これらのメリットとデメリットを踏まえ、賃貸か持ち家のどちらかを選ぶことになります。ここで気になるのが、一生賃貸でいくのとマイホームを購入するのとでは、どちらの方が安く住まいを確保できるかという点でしょう。

賃貸と購入、どちらが「お得」なのか

一般的に、購入する場合であれば、「頭金+ローン」での支払いが基本になります。そこに、ローン返済の金利という要素が加わります。以下に、借入金1,000万円あたりの返済額の総額を示しました。

借入金1,000万円あたりの返済額の総額

金利 20年ローン 30年ローン
0.5% 1,051万円 1,077万円
1.00% 1,104万円 1,158万円
1.50% 1,158万円 1,242万円
2.00% 1,214万円 1,331万円
3.00% 1,331万円 1,518万円
4.00% 1,454万円 1,719万円
5.00% 1584万円 1933万円

※みずほ銀行「住宅ローンシミュレーション」による試算
※ボーナス月は通常月の1倍、1000円未満四捨五入

20年ローンで金利0.5%の場合、総返済額は1,051万円になります。ところが、同じ20年ローンでも金利5%が適用されると、総返済額は1,584万円にまで膨れ上がります。また、ローンの期間によっても総返済額には大きな差が出ます。金利3%の場合、返済期間が20年から30年に長くなると総返済額は1,331万円から1,518万円に増えます。このように、同じ1,000万円を借りるのでも、適用される金利や返済期間によって数百万円単位で総返済額は変動します。

マイホーム購入にかかる総額は、条件次第でどうとでも操作できるということがお分かりいただけたかと思います。結局、賃貸と比較してどちらが有利になるかというのは、条件次第で簡単に覆ってしまいます。それよりも重視すべきなのは、自分の支払い能力に応じて無理のない返済計画を立てることができるのか、はたまた賃貸を選ぶのであれば、生涯の住居費を確保し続けることができるのかという点なのです。

「一生賃貸」には金銭的負担や入居拒否の問題がある


それでは、賃貸にするかマイホームを購入するのかを決める際、どのようなポイントに注意すればいいのでしょうか。

まず、賃貸で一番のネックとなるのは、やはり家賃の負担が一生涯続く点でしょう。リタイア後の30年間を家賃6万円の賃貸に暮らしたとすると、単純に計算しても2,160万円の住居費が必要です。これだけのお金を老後資金にプラスして準備しなければなりません。

また、現在は高齢者が安心して賃貸住宅に住めるような政策が進められていますが、まだまだ入居を断られるケースは多いようです。将来、仕事をリタイアした時、連帯保証人となるのを依頼できる家族や親戚がいるかどうかもひとつの判断基準といえそうです。

購入すると決めたら、思い切りの良さも必要

一方、購入すると決めた際にぶつかるのが「買い時」の問題です。「もう少し働いて収入がアップすれば家計に余裕ができるはずだから、購入するのは先延ばしにしよう」と考えている人もいるかもしれません。しかし、住宅ローンは現役時代に完済しておくのが賢明です。なぜなら、退職金をローン返済に充ててしまうと、その後の資金に余裕がなくなり、老後破綻を招きかねないからです。

現役時代に完済するとなると、住宅購入を先延ばしにした分、ローン返済に充てられる期間が短くなります。返済期間が短くなれば当然月々の返済額の負担が重くなりますから、希望の水準の住宅に手が届かなくなるということも考えられます。住宅ローンを組む際は、時間を味方につけるという視点も持っておく必要があります。

また、2019年10月には消費増税というビッグイベントが控えているため、消費税が8%のうちに購入しておいた方がいいのかもしれないという考えも頭をよぎります。

ところが、増税後には買い控えの対策として数々の優遇措置が用意されています。まず、住宅ローン控除の拡充が挙げられます。現行の制度では、10年間で最大400万円の控除が受けられますが、消費税率10%が適用される住宅については、期間が3年間延長されます(※)。
(※延長される3年間については、年末のローン残高の1%と建物価格の2%を3年間で分割した額のどちらか低い方が控除されます。)

このほか、一定の条件を満たす購入者がもらえる「すまい給付金」の拡充や、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた時に適用される贈与税の非課税枠の拡大も予定されています。

損得にとらわれすぎると、ローン返済に充てられる貴重な時間を無駄にすることにもなりかねません。住宅ローンの金利には注意する必要がありますが、ある程度資金計画の目処が立ったら、購入に踏み切る思い切りの良さも必要でしょう。

理想の生活と無理のない資金計画で判断しよう

結局、住まいを購入した方がいいのか賃貸にすべきなのかは、それぞれの家庭によって正解が違うということです。どちらの方が自分の生活に合っているのか、家族が暮らしやすいのかを軸に考えればよいでしょう。そして、どちらにするのか決心できたら、収入とのバランスを考え無理のない資金計画を立てることが大切です。

この記事の監修者

北野 琴奈ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)

津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。実践型ファイナンシャル・プランナーとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。TBS「がっちりマンデー!!」「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。