2019年10月1日、消費税率が10%に引き上げられます。消費税の増税は2014年4月に5%から8%に変更されて以来、実に5年ぶりとなります。消費税は引き渡し時点の税率が適用されますので、9月30日までに引き渡しを受けたものは8%に、10月以降であれば10%になります。中古住宅の購入であれば8%に間に合いますが、これから住宅を建築する場合は、10月1日を超えると考えられますので、10%になります。

住宅に関して消費税がかかるものを確認しておきましょう。建物価格(個人間売買は除く)、工事費用、不動産取引の仲介手数料、住宅ローン費用などが増税の影響を受けます。

そこで不動産市況の冷え込みを防ぐため、このたび従来からある税制優遇制度の拡充をはじめ「4つの支援策」が用意されました。うまく使えば消費税8%時よりも買い得といえそうです。ここからは、消費税10%後の新築の住まいづくりを考えている方に向けて、それぞれの支援策のポイントを見ていきましょう。

4つの住宅取得支援策① 【住宅ローン減税の控除期間が3年延長】

住宅ローン減税(住宅ローン控除ともいいます)は、10年以上かけて返済する住宅ローン(年0.2%以上の金利の社内融資等も含む)を借りた人を対象に、所得税・住民税を軽減する制度です。

ローンを組んで10年にわたって、毎年末のローン残高の1%(または住宅取得対価の1%と比較して少ない方)の金額を、まず所得税、次に住民税(13万6,500円か前年課税所得×7%のいずれか小さい額が上限)から控除できます。対象となるローン残高は4,000万円(長期優良住宅や低炭素住宅であれば5,000万円)が上限となっています。

今回ご紹介する住宅取得支援策では、2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居した場合は「10年」という期間が「13年」と3年間延長されることになります。

10年を超えた11年目以降の減税額は、それまでと同様かもしくは建物購入価格の2%分を3等分した額のどちらか少ない額です。「ローン残高の1%が還ってくる」との勘違いがよくありますが、この制度はあくまでも住宅ローンの負担を軽減するために、借りる方の所得から納める税金を還付するという仕組みです。

ですから、4,000万円のローン残高があっても必ずしも40万円もらえるわけではないことに注意してください。

4つの住宅取得支援策② 【すまい給付金も拡充】

消費税8%時に新設された「すまい給付金」は、年収が概ね510万円以下の人に10~30万円給付されています。今回は内容が拡充され、消費税10%が適用される住宅に、2021年12月31日までに引き渡しを受け入居した場合は、年収が概ね775万円以下(住民税所得割額17万2,600円以下、神奈川県は異なる)の人に10~50万円給付されます。

住宅瑕疵担保責任保険に加入または建設住宅性能表示制度を利用する住宅など、一定の品質が確保された住宅に限ります。住宅ローン利用の有無は問いません。

4つの住宅取得支援策③ 【次世代住宅ポイント制度が新設】

次世代住宅ポイント制度は、注文住宅の場合、2019年4月1日から2020年3月31日までに請負契約を締結・着工し、引き渡しが2019年10月以降の住宅に利用できます(2018年12月21日から2019年3月31日に請負契約を締結し、2019年10月1日~2020年3月31日に着工した住宅も可)。

分譲住宅の場合は、2018年12月21日から2020年3月31日までに請負契約と売買契約を締結・着工し、引き渡しが2019年10月以降の住宅(2018年12月20日までに完成済であれば、2018年12月21日から2019年12月20日までに売買契約を締結し、引き渡しが2019年10月以降)となります。

省エネ・耐久・耐震・バリアフリー性能を持つ住宅が対象で、適合するメーカーや品番などは専用サイトで確認できます。
新築は上限35万ポイント(35万円相当)が付与され、省エネ・環境配慮に優れたものや防災・健康・子育て関連・地域振興商品と交換できます。ただし具体的な商品はこれからのようです。

4つの住宅取得支援策④ 【住宅取得等資金の贈与税の非課税制度が拡充】

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度は、20歳以上の人が、父母祖父母など直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合に利用できます。消費税10%で住宅を取得しその契約日が2019年4月1日~2021年12月31日であれば、非課税額が拡大されます。
2019年4月から2020年3月に契約すると、非課税額の上限が2,500万円(一定の耐震・省エネ・バリアフリー性能の住宅であれば3,000万円)と、一番好条件。贈与を受けた年の翌年3月15日までに新築・入居が条件となっています。

依然として超低金利の住宅ローンを味方に!

4つの支援策ですが、それぞれ適用条件や手続き先が異なりますので、対象になるのかなど事前にチェックしましょう。国としては、今後は高品質な住宅を流通させたい、という意図が読み取れます。実は住宅ローン借り入れにおいても、金利優遇など同様の流れがあります。家族の夢の詰まった住まいづくり、住み心地、価格、施策からの恩恵などしっかり比較検討して進めていきたいものですね!