個人向けファイナンシャルプランナーとして活躍するかたわら、1児の母でもある小島里美さん。キャリア選択の背景には、過去の自分に対する反省があったといいます。貯金や投資のことを「よく分からないからやらない」とスルーしてしまわないために。第一歩を踏み出しましょう!

してますか? 「ライフプランニング」

初めまして。小島里美と申します。簡単に自己紹介をいたしますと、私は今、個人事業主という業態でファイナンシャルプランナーをしております。
また、プライベートでは2歳になる娘の母でもあります。

具体的な仕事内容として、

①ライフイベントごとにいくらのお金が必要か把握していただく(課題の把握)
②必要資金をどのように準備すべきかアドバイスする(解決策の提示)
③個人のお客さまそれぞれに合わせたライフプラン設計を立てる(プランニング)

というフローでマネーコンサルティングを行っています。

金融業界に入る前は、まったく別の業界で仕事をしていた私。
もともとお金に無頓着で、「稼いだら使うし、銀行残高もよく分かってないし、資産運用なんて言葉すら聞いたことない」という20代の前半を過ごしていました。

今振り返って、この仕事に出会っていなかったら私の人生はどうなっていたのだろうか……とゾッとします(笑)。

もっと早くにお金の専門家に出会ってアドバイスをもらえていたら、将来のお金の不安はもう少し減っていただろうと思うからこそ、この仕事を通して「とにかく若いうちにお金と真剣に向き合ってほしい」と、啓蒙し続けている現在です。

さまざまなお客様から相談をお受けする中で、
「未来が分からないので、具体的にライフプランが立てられません」という方がいらっしゃいます。
それ、よーーく分かります!
私も少し前までそうでした。

結婚、出産、するのかな……。
仕事もいつまで続けるのか分からないな……。

“分からないからできない”
“分からないからやらなくていい”
そう自分に言い聞かせ、過ごしていました。

しかし、それは誤りでした。
まず声を大にして言いたいのは、独身であろうと家庭があろうと、ご自身のライフプランニングは絶対にしていただきたいということです。

まずはワクワクする未来をイメージして

成り行き任せの“とりあえず今が楽しければいい”という考え方は学生まで。
社会人になって自分でお金を稼ぐようになったら、これからの生き方とお金のことを真剣に考えてほしいのです。
「あの時こうしていれば……」と後悔しないためにも、早いに越したことはありません。

私は、25歳のときに外資系保険会社へ転職したのをキッカケに、自分の人生が一度きりなのに、こんな無責任な生き方でいいのだろうか? と考え始めました。

そこで、いつ結婚して、出産して……という具体的なシミュレーションではなく、5年後・10年後・20年後・30年後、私はこんな自分になっていたい! というワクワクするイメージをしてみることから始めたんです。

・こんな働き方をしていたい
・こんな暮らしをしていたい
・こんな人たちの身近にいたい

漠然としていても良いのでイメージする。

この5年前にイメージしたことが少しずつ微調整されながらも、思い描いた方向へ進んでいるなと実感しています。

なので、人生設計と堅苦しく考えず、「ワクワクする未来の自分をイメージすること」から始めてみること、をオススメします。
ご家族がいらっしゃるなら、ご家族同士で未来の自分について話し合うのも、案外楽しいですよ。

そうすれば、そういう自分になるためには今からどんな準備が必要なのか? を棚卸しして、行動に移していくことができますからね。

お金って、どのくらいあればいいの?

幸せな人生をイメージしたら、その幸せを叶える“手段“としてお金が必要になりますね。
今、巷にはたくさんお金に関する情報が流れています。
では、お金がたくさんあれば良いのでしょうか?
私が思うに、あるに越したことはないけれど、各々が叶えたい人生プランから逆算し、自分に必要な資金の準備さえできていればそれで良いのではないでしょうか。しっかりとライフプランを立てれば、情報の渦に飲み込まれなくて済みます。自分は自分でOK! ということですね。

さて、一般的にライフイベントの中で大きなお金がかかるといわれているのが

①病気や介護
②結婚
③出産(子どもの養育資金)
④住宅購入
⑤老後

この五つです。

自分に訪れないライフイベントに関しては、現状では考える必要はありませんから、今すぐ対策すべき/ライフイベントが起こってから対策する or 対策しなくていい、という優先順位を決めると良いと思います。

私がお客さまとともに実践している具体例は以下の通り。

・誰にでも必ず起こる⑤→今すぐ対策すべき
・場合によって起こりうる①→今すぐ対策すべき(必要に応じて)
・それぞれのライフイベントによって起こる②③④→その時に対策するor対策しない

……と仕分けをして、それぞれに対して今不足している資金を可視化します。
そうすると、やるべきことが明確になって漠然とした不安から逃れることができます。

わたしの資産運用法、少しだけ教えます!

私自身のライフプランを可視化した上で不足するお金に対して行っていることは、

・老後のための「長期積立投資」
・子供の教育資金のための「ドル貯蓄」
・万が一の「生命保険」

です。

金融商品を購入するときに必ず意識してほしいこと。それは「目的」です。
目的によって適切な金融商品があります。それをしっかり意識することが大切です。

老後に関しては、国民年金だけで暮らしていくのは困難ということは周知の事実。どのように自分たちの生活を守っていくのか、皆さん知りたいはずですよね。
結論から申し上げますと、老後のお金は“資産運用をする”か“働き続ける”か、でつくるしかないといえるのではないでしょうか。
貯蓄をしておけば何とかなったのは、銀行金利が良かったひと昔前の話。お金にしっかり働いてもらいお金を殖やしていかなければ、将来豊かな生活ができなくなるのではないかと思います。

そこで、老後のための資産運用として特にオススメしたいのが「長期積立投資」。
iDeCoやつみたてNISA、変額個人年金のような金融商品がそれにあたるのですが、老後まで10年以上あるのであればぜひ行っていただきたいです。
お金を殖やす一番のポイントは“期間”と“利回り”です。積み立てる金額も大事ですが、少額でも利回りが良いものに期間をかければお金は殖やせる可能性が高まります。さらに、時間をかけることは資産運用にはつきものの“リスク”を軽減してくれるという利点もあります。

また、会社員で年収が500万円以上ある方は「不動産投資」を検討しても良いと思います。
私が後悔しているのは、会社員時代に不動産投資をできなかったことなので……。

資産運用も不動産投資も、恐いのはリスク、つまり損をすることですよね。ただ、リターンを得るには必ずリスクはついてきます。リスクがまったくなく儲かる商品は存在しません(出会ったら詐欺だと思ってください(笑))。リスクは恐いから避けるものではなく、理解して受け入れていくもの。リスクを味方につけた人こそが、資産運用で成功できる人です。

子どもの教育資金のために行っている「ドル貯蓄」とは、利回りの高いドル建ての終身保険を10年間で支払い終え、教育資金のピーク時(大学入学時)まで運用して、支払った金額に対してリターンを得る、というものです。
この金融商品のメリットは二つ。生命保険なので自分に万が一があった際も死亡保険金として子どもの教育資金を確保できるということ、ドルで資産を持つことができるということ。
ドル建ての金融商品は為替の変動がついて回るので、そこが一番のリスクだといわれています。これも「為替」を正しく理解し、リスクを受け入れることで、強力なパートナーになってくれるのです。

万が一のための「生命保険」ですが、生命保険はできるだけ安く保障内容が良いものがベストです。したがって私は掛け捨てのタイプしか持ちません。生命保険を持つ目的は、病気やケガで働けなくなったり、亡くなったりした場合に大きなお金を備えておきたいから。この目的を叶えるために、なるべくコストは抑え、その分を投資に回していきたいと考えています。

若いみなさんへ。まずは動いてみましょう

これから私たちがお金に困らないようにするには、正しい情報をいかにして得るかにかかってくると思っています。現代は、自分で稼いだ大事なお金を活かすも殺すも自分次第 というシビアな時代ともいえるのではないでしょうか。

そこで、
・マネーセミナーや資産運用セミナーに参加してみる
・ファイナンシャルプランナーに個別相談してみる

など、自分や家族の人生をより豊かに幸せなものにするためにも、まずは動いてください。そして内容はすべて鵜呑みにせず、自分のライフプランに合ったものかを考えてみてください。
何度も申し上げますが、資産運用にうまい話はありません! 必ずリスクは存在します。ただし、そのリスクを理解することで、味方につければ悪さはしません。

そして「自分もこれならできそうだな」 「この資産運用の方法は良いな」と思ったことは、すぐに取り入れてみてください!

「時間こそ財産になります」

ここから、自分の手で幸せな人生を築いていきましょう!

〈プロフィール〉
小島里美(こじまさとみ)
青山学院大学を卒業後、キャリアコンサルタントを経て外資系保険会社へ入社。自身の出産を機に『お金のことをよりフラットに相談できる立場でお客様の人生を応援したい』という想いに変わり、現在はFPとして同世代の個人を中心にマネーコンサルティングを行なっている。
Twitter:@satomikojima822
ランキング掲載:「最新保険ランキング2018年下期」 (KADOKAWA/小島さんはP8~9 )