会社の制度を利用してお得に貯蓄ができる

4月といえば、新生活がスタートする時期です。今年から社会人になったという人は、環境がガラッと変わり少々大変な日々を送っていることでしょう。

社会人1年目だと、見落としがちなのが勤務先の福利厚生です。もしかしたら、とても利用価値の高い制度があることに気づいていないかもしれません。特に給与天引きで貯蓄ができる制度があれば、今すぐにでも始めることをおすすめします。

本記事では、職場にあれば積極的に利用したい貯蓄制度を紹介します。

「先取り貯蓄」で必ず貯まる仕組みを作ろう

働きだしてお金を稼ぐようになれば、始めたいのが貯蓄です。今後の人生には結婚や子育てなど、さまざまなライフイベントが待っていますから、早くからお金の準備をしておくに越したことはありません。貯蓄をするときに実践したいのが、「先取り貯蓄」です。これは、給料が振り込まれたら貯蓄する分を先に確保しておき、残ったお金で生活するという方法です。

先取り貯蓄をせずに一つの口座でお金を管理してしまうと、無駄遣いをしているつもりはなくても、なかなかお金は貯まらないもの。必ず生活費と貯蓄するお金は分けて管理しなくてはいけません。

また、貯蓄を始めるときに、まずチェックしたいのが会社の福利厚生です。もし「社内預金」や「財形貯蓄制度」があれば、お得に先取り貯蓄をするチャンスです。以下では、この二つの制度について解説していきます。

銀行に預けるよりも高金利!社内預金は年利0.5%を保証!

貯蓄に利用したい制度の1つめが「社内預金」です。これは、会社が銀行のような役割をして、給料天引きで会社にお金を積み立てていく制度のことです。社内預金の最大のメリットは、高い金利にあります。会社は社員からお金を預かり、その見返りとして社員に高い金利を支払います。

現在、メガバンクの普通預金の金利が0.001%、定期預金でも0.01%程度ですが(2019年3月13日現在※公開時に公開日時に変更いたします)、社内預金は利率が0.5%を下回らないように厚生労働省令で定められています。その差はなんと50〜500倍と、社内預金がいかに高金利であるかが分かります。

やや古いデータにはなりますが、厚生労働省の「就労条件総合調査(2014年)」によると、社内預金の制度がある企業は全体の3.6%と、利用できるのはごく一部の企業です。もし、あなたの勤務先で利用できるのならかなり「ラッキー」だと言えるので、最優先で利用するといいでしょう。社員が返還を請求した時には、会社は滞りなく返還することが法律で定められているので、お金を引き出しやすいのも特長です。

ただし、デメリットもあります。預けたお金は会社が事業資金として使うことができ、万が一破綻した場合にはお金が戻ってこない可能性があるという点です。会社は預金に対して保全措置を講じることが義務付けられていますが、会社が経営不振に陥った時など、注意が必要な場面が訪れるかもしれません。

財形貯蓄なら会社がお金を上乗せしてくれることもある

勤務先にあれば利用したい制度の二つ目が「財形貯蓄」です。こちらも給料天引きで貯蓄ができる制度で、会社が契約した金融機関の商品で積み立てることになります。

財形貯蓄には3種類あり、用途別に「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」に分かれています。一般財形貯蓄は資金の使い道に決まりはなく、積立開始から1年経てばいつでも必要な時にお金を引き出すことができます。積立金額に上限はありません。

一般財形貯蓄以外はお金の使い道が決められていて、財形住宅貯蓄は住宅の購入やリフォーム費用など、財形年金貯蓄は60歳以降に受け取る年金を準備するための制度です。この二つは、合わせて550万円まで利子が非課税になる特典があります(財形年金貯蓄の保険商品などは、払込額385万円までが非課税)。ただし、目的外で資金を引き出した場合には過去5年間に遡って課税されます。

財形貯蓄制度を導入している企業の中には、従業員が積み立てるお金にプラスして、会社が奨励金を上乗せしてくれることがあります。もし奨励金があれば、かなり有利に貯蓄できることもあるので、ぜひ一度チェックしてみましょう。

会社の制度がなければ積立定期預金で備えよう

ここまで紹介した制度がどちらも勤務先にないという場合には、銀行の自動積立定期預金を利用するといいでしょう。給与振込口座と同じ金融機関で設定すれば、手数料もかかりません。高い金利がつくわけではありませんが、一度手続きしてしまえば毎月自動的にお金を貯めることができます。

ここでポイントなのが、積立日を給料日のすぐ後に設定することです。そうすることで、お金を使い込んでしまう前に貯蓄分を確保でき、先取り貯蓄を徹底して行うことができます。

いずれ訪れるライフイベントに向けて先取り貯蓄を始めよう

新社会人の貯蓄額の目安は、一人暮らしなら手取り収入の1割、実家暮らしなら2〜3割程度です。まずは毎月いくら貯蓄に回すのか、目標金額を決めることから始めてみましょう。

そして、会社の福利厚生の内容を再度確認してみましょう。入社後の説明ではあまり気に留めず、お得に貯蓄ができる制度があることに気づいていないかもしれません。新生活と同時に貯蓄もスタートさせ、今後の人生に役立ててください。