企業型確定拠出年金のマッチング拠出とは?メリット・デメリットについて解説

企業型確定拠出年金のマッチング拠出とは

マッチング拠出とは、企業型確定拠出年金で、会社が拠出した掛け金に従業員が自己資金を上乗せできる制度です。2012年1月の法改正により開始され、企業・従業員の双方で従業員が退職した後の老後資金作りに備えられるようになりました。2017年3月時点で、確定拠出年金制度がある企業の30%超がマッチング拠出を導入しています。

掛金を上乗せすることで将来の年金受取額を増やせる可能性があることに加え、マッチング拠出の掛金は全額所得控除の対象であるため、所得税・住民税を節税できます。勤務先がマッチング拠出を導入しているなら積極的に利用したい制度です。ここでは、マッチング拠出の概要やメリット・デメリットについて解説します。

マッチング拠出の概要を理解しよう

企業型確定拠出年金のマッチング拠出とは、どのような制度なのでしょうか。まずはマッチング拠出の概要について確認していきましょう。

マッチング拠出の対象者

マッチング拠出は、企業型確定拠出年金があり、マッチング拠出を導入している企業の従業員が任意で利用できます。従業員の自己資金で掛金に上乗せするため、マッチング拠出の利用を強制されることはありません。マッチング拠出の掛金の変更は年1回までで、多くの会社では毎年1回の申込期間を設定しています。いつでも途中で止めることができ、一度止めたあとに再開することも可能です。申込方法は会社によって異なるため、利用する場合は担当部署に確認しましょう。

マッチング拠出の掛金の上限

マッチング拠出の掛金には、以下のような上限が設けられています。

●会社掛金額を超えることはできない
●会社掛金額と合計で月5万5,000円まで(他の企業年金がある場合は月2万7,500円)

たとえば、会社掛金額が月1万円の場合、本人掛金額の上限は月1万円です。また、会社掛金額が月3万円の場合、合計で月5万5,000円までという条件があるため、本人掛金額は月2万5,000円が上限となります。マッチング拠出の掛金は、毎月定期的に拠出する必要があり、ボーナス時の金額上乗せなどは認められていません。

マッチング拠出の掛金の支払方法

マッチング拠出の掛金は、給与天引きにより会社を通じて支払います。会社にマッチング拠出の利用申込をすれば、あとは会社が手続きをしてくれます。運用商品の配分割合も会社掛金と同じです。マッチング拠出の利用申込をしたら、給与明細で掛金が天引きされているかを確認しましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは併用できない

企業型確定拠出年金に掛金を上乗せできる制度は、マッチング拠出のほかにiDeCo(個人型確定拠出年金制度)があります。iDeCoもマッチング拠出と同じく、「掛金が所得控除」「運用益が非課税」といった税制優遇を受けられますが、マッチング拠出を導入している企業に勤務している場合、iDeCoとの併用はできません。マッチング拠出のほかに将来に備えて資産運用をしたい場合は、年間40万円まで非課税で運用できる「つみたてNISA」の利用を検討しましょう。ただし、つみたてNISAの掛金は所得控除にはなりません。

マッチング拠出のメリット

マッチング拠出を利用することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。マッチング拠出のメリットを三つ紹介します。

①掛金が全額所得控除になる

マッチング拠出の掛金は全額所得控除になるので、所得税と住民税の節税につながります。
扶養家族がいない人がマッチング拠出で掛金を月2万円(年間24万円)支払う場合、年収別の節税効果は以下の通りです。

・年収300~400万円:約3万6,200円
・年収500~600万円:約4万8,500円
・年収700~1,000万円:約7万3,000円

高収入で税率が高い人ほど、マッチング拠出による節税効果は高くなります。ただし、住宅ローン減税を適用中の場合、所得税自体が少なくなっているので効果は限定されます。

②将来受け取る年金を増やせる

マッチング拠出で掛金を上乗せすると、将来の年金受取額を増やせます。年金の受取時には退職所得控除・公的年金等控除いずれかの税制優遇も受けられるので、老後資金の準備に適しています。ただし、運用に失敗すると元本割れするリスクもあるため、受取時期が近づいてきたらリスク資産の割合を減らすなどの工夫が必要です。

③手間がかからない

マッチング拠出は、手間がかからないのもメリットです。マッチング拠出の掛金は、給与天引きで支払うことができます。また、所得控除の手続きも会社が行ってくれるので、年末調整や確定申告は必要ありません。一方で、iDeCoで掛金を上乗せする場合、税制優遇を受けられるのは同じですが、自分で手続きをして掛金を支払わなくてはなりません。また、所得控除を受けるには、証券会社からの通知書をもとに年末調整や確定申告を行う必要があります。

マッチング拠出のデメリット

マッチング拠出のデメリットは、原則60歳まで引き出せないことです。自己資金で掛金を上乗せするため、手元に残るお金は少なくなります。節税や年金増につながるからといって掛金を増やしすぎると、手元資金が不足する可能性があるので注意が必要です。マッチング拠出を利用する場合は、無理のない金額で掛金を設定しましょう。

この記事の監修者

北野 琴奈ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)

津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。実践型ファイナンシャル・プランナーとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。TBS「がっちりマンデー!!」「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。