不動産投資を始めるときに気になるのが、初期費用ではないでしょうか?実は、頭金も諸費用も支払わずにローンを組める「オーバーローン」という方法があります。この方法ならば、理論上、自己資金がない状態からでも、不動産投資が可能です。ですが、本当に大丈夫なのでしょうか?

今回はオーバーローンについての詳細な説明と、メリットや危険性についてご紹介します。

前年の1月1日から12月31日まで1年間の所得を確定させて、税務署に届け出ることを「確定申告」といいます。
所得とは、=収入ではなく、収入から経費などを控除(差し引く)したものです。税金はそこにかかってきますが、多くの場合「源泉徴収」などで、あらかじめ収入から税金が引かれています。経費の額などを加味して正確な所得金額を割り出し、所得税の額を確定することを確定申告といいます。

オーバーローンとは

「フルローン」や、「オーバーローン」といった方法を取ることによって、手持ちのお金がなくても不動産投資を行えるようになります。短期間で資産を増やしたいときに有効な手段です。まずはオーバーローンの特徴について、しっかり理解していきましょう。

・オーバーローンとフルローン

ローンを組む方法は「通常のローンの組み方」と「フルローン」それから「オーバーローン」の3つです。

通常のローンの場合ですと、最初に頭金を支払ってローンを組みます。しかしその頭金を支払わずにローンを組み、不動産を入手する方法が「フルローン」です。

オーバーローンとは、物件の費用のみならず、手続きにかかる「諸費用」もローンの支払額に含める方法です。オーバーローンを利用することによって、手持ちのお金がないような状態でも自己資金に頼らずに不動産投資ができるようになります。

・「諸費用」とは?
不動産を購入する際には、物件価格の他にも様々な諸経費がかかります。

その一つが税金です。「印紙税」や「登録免許税」、それから「不動産取得税」。それら以外にも、手続きにかかる種々の手数料も必要です。司法書士に支払う登記の手数料や、金融機関が融資する際にかかる手数料、さらに火災保険料等も諸費用になります。目安としては、普通の新築住宅なら3~7%、中古住宅なら6~10%ほど諸費用がかかると考えておくと良いでしょう。
オーバーローンは、これらの諸費用も含めた金額でローンを組みます。

オーバーローンのメリット・デメリット

続いてオーバーローンを組む上でのメリット・デメリットをしっかりと理解しておきましょう。

・オーバーローンのメリット
オーバーローンのメリットは、手持ちの資金がなくても不動産投資を始められる点です。少ない自己資金でも良い物件を見つければ利益を生み出せます。収益回収率が上がるため、効率的な投資ができるようになるのです。
また、手元に残しておけるお金が増えるので、急な出費にも対応しやすくなり、結果的にキャッシュフローの無駄削減も期待できます。

・オーバーローンのデメリット
オーバーローンを組むメリットはすぐに分かるかと思いますが、そのデメリットについてよく理解しておかないと、後々大変になってしまいます。主に考えられるデメリットは2つです。

まず1つ目は、オーバーローンが違法な取引に該当してしまっている危険性があることです。融資を依頼する銀行との契約書に、実際行われている取引金額よりも高い金額を記載して多く借りる「かきあげ」という手法が行われている場合です。これは文書の偽造に該当します。融資金額の一括返済が必要になってしまう場合もあるので、このような違法性のチェックは必須と言えるでしょう。

それから2つ目は、多くの金額を借りるようになるために返済額が高くなるので、破産の危険性が上がることです。不動産投資の返済期間は長く、諸費用の分まで利息も支払わなければいけなくなるマイナス面は、よく理解しなければいけません。返済中に失職などが起これば、不動産を売却しなければいけなくなります。

金融機関から融資を受けやすくするためには
金融機関から融資を受けやすくするためには、3つの評価基準で銀行が融資を行っていることをよく理解しておくことが肝心です。

「人物評価」それから「不動産」、「実績」です。

・人物の評価
不動産投資を行う人の信頼性を、銀行は審査します。例えば現在の年収、過去の年収の変化、そして現在どのような会社に勤めているのか、勤続期間といった点を評価します。

・物件の評価
購入する物件の価値が、今後どのように変化していくかということも評価されます。もちろん今後価値が上がり、劣化などが起こりにくい物件は審査で有利になります。

・実績の評価
銀行は不動産投資を行う人の実績や、将来性も評価します。貸借対照表や損益計算書などをチェックし、しっかり投資によって収益が出ているかを見ます。不動産投資を長く行っている人は評価されやすくなりますが、まだ初心者の場合などは評価が低くなります。

今回は不動産投資を行う際にローンを組む方法の一つである、「オーバーローン」についてご説明してきました。頭金も諸費用もローンでまかなうこの方法は、破産の危険性が高くなります。不動産投資未経験の人にはあまりおすすめできません。ですが、オーバーローンの注意点をよく踏まえている経験者ならば、スピーディーに収益が見込める点で、選択肢に入れても良いかもしれません。