1万円の銘柄なら通常は100万円の資金が必要

まとまった資金がないとできないと思われがちな株式投資ですが、実は少額で始める方法があります。「株式ミニ投資(ミニ株)」「単元未満株取引」「株式累積投資(るいとう)」という3つのサービスを紹介します。

「はじめての投資で大金を投入するのは怖い」「そもそも投資に使えるまとまったお金がない」といった理由で、株式投資を敬遠している人は少なくないでしょう。

元々、国内株式の売買単位は銘柄によってさまざまでしたが、東京証券取引所をはじめとする全国の証券取引所が音頭を取り、2018年10月に100株に統一されました。株価が1万円の銘柄であれば、購入するのに100万円が必要ということです。1単元で500万円を超えるような銘柄もあり、「投資したい会社があるけど、資金が足りなくて諦めた」ということもあるかもしれません。

実は、そんな悩みを解決してくれる証券会社のサービスがあります。「株式ミニ投資(ミニ株)」「単元未満株取引」「株式累積投資(るいとう)」という3つの方法なら、いずれも大金を用意することなく、少額から株式投資を始めることができます。それぞれの仕組みを見ていきましょう。

100株未満で買えるミニ株と単元未満株取引

ミニ株は、通常の株式投資の10分の1の金額で購入できるサービスです。例えば、ファーストリテイリングの株価は5万6,630円(2018年10月17日現在)。通常であれば566万3,000円の資金が必要ですが、ミニ株なら56万6,300円で購入することができます。憧れの銘柄が手に入りやすく、持っている株数に応じて配当がもらえるメリットもあります。

デメリットとしては、指値注文ができず買いたい値段で購入できないこと、通常の取引より手数料が割高なことなどが挙げられます。単元に満たないため、当然株主総会の議決権はなく、基本的に株主優待もありません。

ミニ株よりさらに少額で買えるのが、単元未満株取引です。「プチ株」「S株」「ワン株」など証券会社によってサービスの名称は異なりますが、何と1株から購入可能です。先ほどのファーストリテイリングの例でいえば、5万6,630円で買うことができるのです。ミニ株よりもっと投資資金を少なくしたい人や、いろいろな銘柄に分散投資したい人に向いているサービスといえます。

るいとうは「投信積立」の株式版

るいとうは、毎月一定金額で株式を購入していく方法です。「投信積立」をご存知であれば、その株式版と考えるとイメージしやすいでしょう。主に大手証券会社で取り扱われており、一般的に毎月1万円以上から購入できます。

積み立て投資は、「ドルコスト平均法」のメリットがあります。購入金額を一定にすることで、株価が低いときに多く買い、株価が高いときに少なく買うことになるため、全体の平均購入単価を低く抑える効果が期待できます。

るいとうでも保有株数に応じて配当が受け取れます。ただし、るいとうの対象となる銘柄は限られており、必ずしも希望の銘柄でできるとは限りません。また手数料も割高です。まずはサービスを提供している各証券会社の対象銘柄を確認するといいでしょう。るいとうは特定の銘柄を毎月コツコツ購入し、中長期で保有し続けたい人に向いています。

「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」ということわざの通り、何事もやってみなくては本当のところはわかりません。将来的に単元株の取引をしたいと思っていても、「お金が貯まってから」「きちんと勉強してから」ではなく、まずは少額から始めてみる。初めての人は不安もあるかもしれませんが、実際に株式投資を経験することが自らの金融リテラシーを高める一番の近道になるはずです。