「介護休業」と「介護休業給付金」で仕事と介護の両立体制を整えよう

家族の介護に直面した時に利用できる両立支援制度

総務省の「就業構造基本調査(2017年)」によると、親などの介護を理由に離職した人は、過去1年間でおよそ9万9,000人にのぼります。政府は「介護離職ゼロ」を目標に掲げており、介護と仕事を両立するための仕組みづくりが進められています。中でも、基礎となる両立支援制度が「介護休業」と「介護休業給付金」です。

昨日まで元気だった身内が、急に倒れて介護が必要になるということは現実に起こり得ます。特に親が高齢の場合であれば、そのようなことも想定しておかなければなりません。

まずは介護休業と介護休業給付金がどのような制度なのか知り、いざという時に備えておきましょう。

仕事をしている人は「介護休業」が取得できる

高齢の親が怪我や病気で倒れて介護が必要になったとしたら、あなたは引き受けることができますか? もしフルタイムで働いているのであれば、仕事を休むことは免れないでしょう。

そんな時にまず利用したいのが「介護休業」です。介護休業は、労働者が家族の介護にあたるときに取得できる休業のことで、「育児・介護休業法」で労働者の権利として取得することが法的に認められています。パートやアルバイトなど雇用形態に関わらず、雇用期間の定めのない労働者は対象になります。契約社員や派遣社員など雇用期間の定めのある場合でも、一定の要件を満たしていれば取得可能です。

対象となる家族は、要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある「配偶者(事実婚含む)」「父母」「子」「配偶者の父母」「祖父母」「兄弟姉妹」「孫」です。

2017年1月には、介護休業を取得しやすくなるよう法改正がありました。従来は1回のみだった休業の取得回数が、対象家族一人につき通算93日までであれば、3回まで分割して休業が取れるようになりました。まとめて93日間の休業を取ることもできますし、分割で31日間の休業を3回、あるいは35日・15日・43日というように異なる日数の休業を取得することも可能です。必要に応じて柔軟に休業する日を調整でき、利用しやすくなりました。

休業期間中は収入に応じて給付金がもらえる

さらに雇用保険に加入している人は、休業中に「介護休業給付金」を受け取ることができます。こちらも2016年8月に改定があり、給付額が賃金日額の40%から67%に引き上げられています。上限は月額33万1,650円(2020年7月までの給付上限額。毎年8月1日に改定される)で、休業した日数分が支給されます。

介護休業給付金をもらうための要件は、休業開始日前の2年間に雇用保険へ加入している期間が12カ月以上あること、休業後に離職することが決まっていないことなどです。これらを満たしていれば、パートやアルバイト従業員でも給付を受けることができます。雇用期間の定めのある契約社員や派遣社員も、上記に加え一定の要件を満たしていれば給付の対象となります。

「介護休業」と「介護休業給付金」はどちらも会社の担当部署に申請を

介護休業は、会社に対して書面で申請します。対象家族の情報と、介護休業の開始予定日および終了予定日を明らかにして、介護休業開始予定日の 2 週間前までに申請します。

休業開始後に期間の延長が必要になったら、終了予定日の2週間前までに申し出ましょう。通算93日の範囲内で、申請毎に終了予定日を1回だけ繰り下げることが可能です。

介護休業給付金は、自分でハローワークに行って申請することもできますが、基本的には事業主を通じて給付金の申請を行います。支給申請書の提出は、各介護休業終了日(介護休業が3カ月を経過したときは介護休業開始日から3カ月経過した日)の翌日から起算して、2カ月を経過する日の属する月の末日までに行う必要があるので、会社の担当部署に問い合わせて速やかに手続きするようにしましょう。

申請が認められれば、支給決定からおおむね1週間程度で休業をとった従業員の口座にお金が振り込まれます。

介護休業は、仕事と介護を両立するための準備期間と捉えて

介護休業と聞くと、実際に自分が家族の介護をするための期間だと思うかもしれません。しかし、介護休業は93日間で終わってしまいます。加齢などに起因する病気であれば、およそ3カ月の休業期間中には要介護状態から回復できないケースも考えられます。

介護休業は、介護をするための期間ではなく、介護をしながら自分の生活も維持し続けるための体制づくりの期間です。

各自治体には「地域包括支援センター」(地域によって名称が異なる)が設置されており、介護に関しての相談ができます。家族に介護が必要になったら、まずは地域包括支援センターに行く、と覚えておきましょう。そこでは、介護のプランを作成してくれるケアマネージャーを紹介してもらうことができます。ケアマネージャーは家族の希望を聞きながら、要介護認定の段階に応じて受けられる公的な介護サービスを組み合わせて介護プランを考えてくれます。

仕事と介護を両立するためには、この介護プランが欠かせません。自分がどのように働きたいのか、どのように介護に携わっていきたいのかを相談し、ベストなプランを練ってもらいましょう。

介護をしながら仕事を続けるためには、「自分一人で抱え込まないこと」が大切です。もし身内に介護が必要となったら、介護休業や介護休業給付金といった支援制度を上手に活用し、すみやかに仕事と介護を両立できる体制づくりに取りかかりましょう。