お得な「iDeCo」と「つみたてNISA」、どう使い分ける?

効率よく資産形成できる投資制度に注目

近年、税制優遇によって、お得に投資ができる制度に注目が集まっています。なかでも、特に人気なのが「iDeCo(イデコ)」と「つみたてNISA(ニーサ)」です。いずれも長期での資産運用を前提としており、初心者でも投資で失敗しにくい制度になっています。

ここではそれぞれの特徴と、上手に使い分けるためのヒントを解説していきます。

iDeCoはリタイア後の資産を準備する制度

まずiDeCoとつみたてNISA、それぞれの制度についておさらいしておきましょう。

iDeCoは、公的年金の上乗せとして、自分で将来受け取る年金を積み立てる「私的年金」の制度です。毎月一定額のお金を積み立てていき、そのお金は60歳以降に受け取ることができます。

公的年金では、国の機関が年金原資を国内外の債券や株式に投資して運用を行っていますが、iDeCoでは自分で金融商品を選んで運用していくことになります。運用商品は加入する金融機関ごとにラインナップが異なりますが、元本割れの心配がない「元本確保型」の商品と、元本割れする可能性はあるけれど大きく値上がりする可能性もある「元本変動型」の商品の二つに大別することができます。具体的には、元本確保型には定期預金や保険商品、元本変動型には投資信託があります。ただし元本確保型といっても、一定の手数料はかかりますから、それらが利息以上の金額になる場合には実質マイナス運用になる可能性もあります。

iDeCoの最大のメリットは、お金を積み立ててから受け取るまでの間に、三つの税制優遇が受けられること。

一つ目が積み立て時です。お金をiDeCoで積み立てると、全額を所得控除することができ、その分の所得税と住民税を安くすることができます(ただし、専業主婦や無職の人、学生など所得のない人にはこの効果はありません)。

二つ目は運用時です。通常、投資をすると運用で得た利益には20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%・住民税5%)の税金がかかりますが、iDeCoではその税金がかかりません。

三つ目は受け取り時です。受け取り方には年金方式と一時金方式がありますが、どちらで受け取ったとしても一定額まで非課税で受け取ることができます。

つみたてNISAのキーワードは「長期・積立・分散」

つみたてNISAは、2018年1月からスタートした非課税で投資ができる制度のことです。iDeCoと同様に、通常なら運用益にかかる20.315%の税金が、つみたてNISAなら非課税になります。非課税投資枠は年間40万円まで、最長で20年間運用できるので、最大で合計800万円(今のところ投資信託を購入できるのは2037年までとされているので、2019年から始めた人は最大で760万円)までの投資が可能です。

商品の購入方法は「つみたてNISA」の名前の通り、同一商品を定期的に買いつける積み立て購入に限定されます。そうすることで、投資のタイミングを見誤って失敗することを避け、収益を上げやすくする効果があります。

また、つみたてNISAで購入できる商品は、国の定めた厳しい基準をクリアした、長期・積立・分散投資に適していると考えられる投資信託に絞られています。分散とは、購入方法を積み立てにすることで時間の分散が図れることや、複数(あるいはバランス型などなら1本だけでも)の投資信託を購入することで、投資する対象資産や地域の分散ができることを意味します。元本割れする可能性はありますが、国がお墨付きを与えた商品が揃っているので、投資初心者でも安定的な資産形成を目指しやすい制度だといえます。

二つの制度の使い分け方法とは?

それでは、この二つの制度はどのように使い分ければいいのでしょうか。

まず、iDeCoは原則60歳まではお金が引き出せませんから、当然、老後資産を貯めるために利用することになります。その一方、つみたてNISAは資金の引き出し制限がなく、お金が必要になった場面でその都度引き出すことができるため、iDeCoよりも柔軟に利用目的を決めることができます。逆に言うと、iDeCoは引き出しに制限がある分、お金が溜まりやすいとも言えそうです。

ただし、長期的な資産形成を目的としているという点は忘れてはいけません。先ほども触れましたが、つみたてNISAはお金をコツコツと積み立てて、リスクを分散しながら資産形成することを目的としています。そのため、すぐ必要になるお金を準備するのにはあまり向いていません。利用する場合には「今すぐ使う予定はないけれど将来必ず必要になるお金」の準備を目的とすると良いでしょう。例えば、出産費用や車・住宅の購入費用など、5年以上は使う予定のないお金を準備するのがおすすめです。もちろん、特に使い道は決まっていないけれど、運用してお金を増やしながら蓄えておきたいという目的でもOKです。

iDeCoは加入できる年齢が60歳まで(運用のみなら70歳まで)と決まっていますが、つみたてNISAには年齢の上限はありません。運用期間は最大で20年なので、加入時の年齢によってはつみたてNISAで老後資産を準備することもできます。あるいは、60歳以降にiDeCoの資産を受け取った後、つみたてNISAに移して運用するという利用方法も考えられます。自分にあった利用方法を検討してみましょう。

どちらか一方ではなく両方を使いこなして賢く資産形成しよう

このように、基本的には老後資産はiDeCo、ライフイベントごとに必要となるお金はつみたてNISAというように使い分けすると良いでしょう。投資というと難しいイメージを抱きがちですが、どちらも長期運用することで失敗する可能性を低く抑えることが期待できるので、投資デビューする際にもぴったりの制度だといえます。

二つを上手に使いこなして、賢く資産運用をしていきましょう。

この記事の監修者

北野 琴奈ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)

津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。実践型ファイナンシャル・プランナーとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。TBS「がっちりマンデー!!」「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。