現金派とキャッシュレス派のメリット・デメリット

政府はキャッシュレス決済の浸透に取り組んでいる

日本政府は少子高齢化や人口減少の対策として、キャッシュレス決済の浸透に取り組んでいます。キャッシュレス決済が浸透すれば、店舗の無人化や支払データの活用などにより、生産性の向上が期待できるからです。2017年6月に閣議決定した「未来投資戦略2017」では、「今後10年間でキャッシュレス決済比率を4割程度にすることを目指す」と発表しています(現在は約18%)。また、政府は2019年10月に予定している消費増税の経済対策で、キャッシュレス決済した際に購入金額の5%をポイント還元することを検討しています。

キャッシュレス派のほうがお金は貯まりやすい?

このように、政府はキャッシュレス決済の浸透に取り組んでいますが、日本はまだまだ現金派が多数を占めています。「現金のほうが貯蓄しやすい」という意見もありますが、お金が貯まりやすいのは現金派とキャッシュレス派のどちらなのでしょうか。JCBが実施した「キャッシュレスとデビットカード利用意向に関する実態調査2018」によると、2017年の平均貯蓄増加額は、キャッシュレス派の87.6万円に対し、現金派は32.5万円でした。キャッシュレス派は現金派より、2.7倍も貯蓄を増やせたことになります。しかし、貯蓄額は回当者の収入やお金の管理が得意かどうかによって左右される部分もあるため、単純に「キャッシュレス決済にすればお金が貯まる」という結論にはなりません。現金とキャッシュレスのどちらを選ぶかは、それぞれのメリット・デメリットを比較して検討する必要があります。

現金派のメリット・デメリット


ここでは、現金派のメリット・デメリットについて確認していきましょう。

■現金派のメリット
現金派には以下のようなメリットがあります。

    ・使いすぎの心配がない
    ・残高を把握しやすい

クレジットカードは、手元にお金がなくても買い物ができてしまいます。しかし、現金の場合は手元にある金額しか使えないので、使いすぎる心配がありません。また、現金は残高を把握しやすいのもメリットです。手元に残っている現金が残高になるので、買い物の計画が立てやすく、管理もしやすくなります。

■現金派のデメリット
一方で、現金派には以下のようなデメリットがあります。

    ・ATMで引き出す必要がある
    ・現金が足りないと買い物ができない
    ・盗難・紛失リスクがある
    ・インターネットでの買い物に手間がかかる

現金を用意するために、定期的にATMに行って現金を引き出す必要があり、引き出す場所や時間帯によっては手数料がかかることもあります。また、現金が足りないと買い物ができません。きちんと管理しておかないと、支払いのときに現金が足りなくて買えない可能性もあります。盗難・紛失リスクがあるのもデメリットです。現金を盗難・紛失しても補償されないので、取り戻すのは難しいのが現状です。インターネットで買い物する場合は、振込やコンビニ払い、代引きなどを利用する必要があり、クレジットカード決済に比べると手間がかかります。

キャッシュレス派のメリット・デメリット


続いて、キャッシュレス派のメリット・デメリットについても確認していきましょう。

■キャッシュレス派のメリット
キャッシュレス派には以下のようなメリットがあります。

    ・ポイントが貯まる
    ・決済が簡単
    ・保険が付帯している

クレジットカードやデビットカードで買い物をすると、決済額に応じてポイントが貯まることが多いです。貯まったポイントは、買い物や商品との交換などに利用できるのでお得です。また、キャッシュレス派は決済が簡単なのもメリットです。カードやスマホをかざすだけで決済できるので、小銭を持ち歩く必要がありません。クレジットカードの種類によっては盗難補償や旅行傷害保険が付帯されているので、別途加入しなくて済む場合も少なくないでしょう。

■キャッシュレス派のデメリット
一方、キャッシュレス派のデメリットは以下の通りです。

    ・デメリット使いすぎる可能性がある
    ・リボ払いやボーナス払いをすると支払総額が増える
    ・年会費がかかることがある
    ・不正利用されるリスクがある

クレジットカードの場合、手元に現金がなくても買い物できるので、自己管理できないと使いすぎてしまう可能性があります。また、リボ払いやボーナス払いを利用すると、金利手数料が発生して支払総額が増えてしまいます。クレジットカードの種類によっては、年会費がかかるのもデメリットです。ネットショッピングでクレジットカードを利用する場合は、カード情報が盗まれてしまい、気づかないうちに不正利用されてしまうリスクもあるので注意が必要です。

現金が向いている人とキャッシュレスが向いている人の違い

現金派とキャッシュレス派のメリット・デメリットを確認しましたが、お金を貯めるにはどちらを選べばよいのでしょうか。最後に、現金が向いている人とキャッシュレスが向いている人の違いについてご紹介します。

■現金が向いている人
お金の管理が苦手な人、使いすぎが心配な人は現金がおすすめです。現金なら毎月一定額を引き出して、その金額でやり繰りするだけで簡単に管理できます。また、クレジットカードは手元にお金がなくても買い物ができてしまうので、使いすぎてしまう可能性があります。リボ払いやボーナス払いなど、支払いを先延ばしにする決済方法も用意されており、利用すると購入金額とは別に金利手数料を支払うことになります。お金を貯めるには、キャッシュレスにしてポイントを貯めるより、残高や支出をしっかり管理することが大切です。

■キャッシュレスが向いている人
お金の管理が得意な人、無駄な買い物をしない人、パソコンやスマホが得意な人はキャッシュレスがおすすめです。キャッシュレスはポイントが貯まるので、支出の管理ができるなら現金よりもお得です。また、キャッシュレスはポイント交換など、インターネット上で手続きすることが多いので、パソコンやスマホが得意な人に向いています。消費増税の景気対策で一時的にポイント還元率アップも期待できるので、キャッシュレスに抵抗がなければ積極的に利用するとよいでしょう。

この記事の監修者

北野 琴奈ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)

津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。実践型ファイナンシャル・プランナーとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。TBS「がっちりマンデー!!」「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。