不動産投資で物件を買うとき、どのぐらいの頭金を用意するのが理想となるのでしょうか。また、投資家にとって何かとメリットの高い頭金が出せないときでも、不動産投資を効率よく行う方法はあるのでしょうか。

今回は、アパートやマンションといった物件購入時に用意しておきたい頭金の相場と、融資との関係について詳しくまとめていきたいと思います。

頭金とは?頭金に含まれるもの

頭金とは、住宅ローンなどの契約をするときに、代金の一部として最初に支払うまとまったお金の総称です。例えば、2,000万円の中古マンション購入時に200万円の頭金を最初に入れた場合、残りの1,800万円でローン を組むようになります。

頭金を使った支払い方法は、不動産だけでなく自動車のような高級品を買うときにも多く用いられています。

目安となる金額は投資する物件、投資家により違う

不動産投資における頭金の目安は、投資家によって意見が異なります。こうした状況が生じる背景には、まず動くお金の額が一律ではなく、失敗の基準も明確ではないという不動産投資ならではの特徴が大きく関係しています。

また、利用する金融機関によって判断がわかれる融資条件も、頭金の目安額に開きを生じさせやすい原因のひとつです。

◇頭金の目安を調べる方法はある?
銀行では、融資を受ける投資家の年収や職業、所有資産といった属性を総合的に見て、金利や返済年数などの条件を決定します。そのため具体的な頭金の目安を把握するには、まず購入予定の物件を決めた上で、いくつかの銀行に相談をしてみる方法がおすすめとなるのです。

不動産投資家の間では、頭金に対して「物件価格の1割」 や「購入代金に対して3割程度」 と断言する意見も多く見受けられます。しかしながら投資用として選ばれる物件の価格や、購入者自身の属性が多種多様な実情から考えると、やはりこうした情報に流されず、金融機関に早めの相談をするのが確実性の高い頭金の目安の調べ方となるでしょう。

頭金により不動産投資のリスクを減らせる

多くの自己資金を頭金にすると、次のようなメリットが得られます。

◇債務が減る
不動産投資でたくさんの頭金を入れる最大の利点は、確実に借金が減ることです。例えば、2,000万円の物件を買うときに200万円の頭金を入れれば、数年前からの投資によりローン残高が1,800万円にまで減った投資家と同じスタートラインに立てるようになります。

◇負担する利息が減る
不動産投資を成功させるには、頭金によって下がる利息にも注目したいところです。例えば2,000万円の物件購入で、金利変動なし2%の35年ローンを組む場合、200万円の頭金を入れるかどうかによって、完済までに80万円近い利息の差額が出る実情があります。

そのため、物件購入時に入れる頭金には、高い金利によって余計なお金を支払い続けるリスクを解消できる利点もあるとされているのです。

◇キャッシュフローが改善する
頭金による債務と利息の好循環は、当然のことながら月々の返済額というキャッシュフローにも大きな影響をもたらします。例えば、前述のように2,000万円の物件を買うときに200万円の頭金を入れるかどうかによって、年間の返済額はおよそ80,000円変わってきます。

また、頭金200万円によって1,800万円を金利2%の30年ローンで借りた場合、2,000万円のローンとあまり変わらない返済額で、5年早く完済することも可能となるのです。そのため、月々の負担を少なく不動産投資をしたい、なるべく早く債務をなくしたいと考える方々にも、頭金を入れるメリットは非常に高いと捉えて良いでしょう。

◇ローン審査に通りやすくなる
貸し倒れを最大のリスクと捉える銀行側にとっても、一定額の自己資金を頭金として入れられるお客様は、大きな安心材料となります。ある程度の頭金を入れる経済的余裕のある投資家には、頭金を一切入れずにフルローンで審査を受ける人と比べて、銀行のローン審査も通りやすい傾向があります。

また、頭金による債務の縮小は、2件目以降 の物件購入時の資金調達も楽にしてくれます。

頭金があまり用意できない場合の投資方法

現段階で自己資金の余裕がないときには、頭金を一切入れないフルローンで不動産投資を始める選択肢もあります。ちなみに、物件評価価格の7割 程度を融資限度額とする日本の銀行では、この金額を超えた部分を頭金とするのが一般的です。

しかしながら、不動産の購入価格となる市場価格が融資限度額を上回った場合、頭金なしのフルローンが組める可能性が高まるとも言われています。

◇頭金を入れない不動産投資の注意点
月返済額が多くなりやすいフルローンの選択時には、頭金を入れるとき以上に事業計画書の中身をしっかり確認してください。例えば、非常に古い築年数のアパートやマンションを買った場合、予期せぬタイミングで起こる設備の故障や修繕により、想定外の出費が必要になることもあります。

また、債務を返済できない物件は当然のことながら売却も難しくなりますので、頭金をあまり用意できず、フルローンで投資を始めるときには、将来的な不動産の扱いについても予測や注意が必要となるでしょう。

早めの物件選びで融資先への相談に備える

不動産投資を始める際に用意すべき頭金は、物件の購入価格と投資家本人の属性から見た銀行側の判断によって、大きく変わってくると考えられます。

そのため、月々のキャッシュフローや債務、利息といった多くのリスク解消につながる頭金の目安を知りたいときには、信頼できる不動産業者と二人三脚で物件を選び、融資先となる銀行に早めの相談をしてみてください。