不動産投資は赤字がつきもの?OKな赤字とNGな赤字の違いと対策

不動産投資関連の記事で、「不動産投資には赤字がつきもの」という表現をよく見かけます。この表現の真意を正確に理解されていますか。「不動産投資の赤字は問題ない」という意味では決してありません。確かに比較的問題のない赤字や、メリットの発生する赤字はあります。

一方、対策が必要な赤字が存在することも事実です。OKな赤字とNGの赤字の違いを把握し、健全な不動産運用に関して理解を深めましょう。

不動産投資には赤字がつきものってホント?

不動産投資に限らず、投資である以上、赤字になる可能性はゼロではありません。不動産投資の場合、その魅力のひとつは節税効果で、赤字になることが節税につながることは事実です。ただし、すべての赤字が問題ないわけではありません。

まず、問題のない赤字と問題になる赤字の違いを理解しておきましょう。

問題ない計画的な赤字

不動産投資で問題のない赤字は、3通り考えられます。

◇減価償却費計上による赤字
取得費用の一部は、減価償却費として一定の期間経費として計上できます。高単価である不動産は、当然減価償却費も高額。他の経費と合算して「年間家賃収入−経費」がマイナスの場合、帳簿上の収支は赤字です。ただし、減価償却費用は毎年発生しているわけではなく、あくまでも初期費用。帳簿の上での収支が赤字でも、特に問題ありません。

◇ローン返済による少額赤字
ローン返済によって毎月持ち出しが続くケースがあります。家賃収入からローン返済も含めた支出を引いて、毎月1万円の持ち出しがあるとしましょう。20年ローンで2,000万円の物件を購入した場合と貯金を比較してみます。貯金で20年後に2,000万円にするには、毎月8万円以上必要。

「毎月1万円の持ち出しで20年後には2,000万円の物件が手に入る」と考えれば、特に問題のない赤字と言って良いでしょう。

◇キャピタルゲインが期待できる赤字
売却益による収益は「キャピタルゲイン」と呼ばれます。将来的な価格上昇でキャピタルゲインが狙える物件で、「キャピタルゲイン>赤字」であれば、トータルで問題ありません。

赤字にはメリットもある

不動産投資は節税対策も大きな魅力です。赤字だからこそできる節税対策として「損益通算」があります。損益通算とは、不動産所得(=家賃収入−経費)を不動産以外の所得と合算すること。サラリーマンであれば、給与所得と不動産所得の合算が可能です。

所得600万円の会社員が不動産投資で100万円の赤字になったとします。課税対象額は600万円から500万円(600−100)に減額。確定申告によって差額の所得税の還付が可能です。所得金額から計算される住民税額も下がり、所得税と住民税の節税となります。

気をつけたい深刻な赤字

次に、メリットがなく、深刻な赤字の例を挙げましょう。

◇家賃収入が予定を下回る
空室の発生により家賃収入が予定していたより少ない場合、その物件は収益性が低く資産価値も低い物件となります。たとえば、賃料8万円のマンションが1年間空室だと収入は年間96万円減、ローンは毎月変わらず返済しなければいけません。ローン完済時に残るのは、低収益かつ低資産価値の物件という深刻な状況です。

◇ローン返済のための持ち出しが多い
将来的に物件が入手できても、毎月のローン返済によって現在の経済状況が苦しい場合も問題です。ローンの金利返済分は経費計上できますが、元金返済分はできないことも忘れないでください。

◇金利が高いローンを利用
ローンの金利返済分は、減価償却費と同様、経費に計上できます。ただし、「帳簿上の支出である」減価償却費と違い実際に現金が動いており、物件所有者の手元に残る現金を減らすだけでメリットがありません。

NGな赤字のときは早急に対策を行い収支悪化をストップ

NGな赤字のときは早めに対策を行い、収支の悪化をストップさせる必要があります。
具体的な対策案は以下の通りです。

◇リフォーム
空室の発生は簡単にキャッシュフロー(手元に残る額)を悪化させます。空室を回避するためには、間取り・設備など、入居者が魅力を感じる物件であることが重要。場合によってはリフォームも検討します。

◇管理会社の変更
管理会社によって得意分野は違います。空室対策に実績のある管理会社に変更することで、空室率の改善が実現する場合もあるでしょう。

◇ローン借り換え
金利が高いタイミングで組んだローンであれば、安い金利のローンへ借り換えることで返済額を抑えることができます。

投資本来の目的「収益の獲得」を忘れない

不動産投資の赤字は、問題ないケースもあれば、対策が必要なケースもあります。最も大切なのは、「不動産投資の本来の目的は収益の獲得」ということ。「節税できているから赤字でも問題ない」ではありません。節税額よりキャッシュフローのマイナスが大きければ、投資の意味がなくなります。

節税を第一の目的にせず、実際に手元にいくら残るのかという点を重視しましょう。不動産投資は、空室発生・家賃下落による収入減や修繕費用などによる支出増というリスクを伴います。収支を厳密にチェックし、キャッシュフローが安定して黒字の健全な不動産投資を目指してください。