退職金はどう使うのが正解?老後の生活資金から正しい使い道を解説

退職金があっても老後の生活には不安が残る

退職金というまとまったお金をもらえることは嬉しい反面、どのように使うのかを迷ってしまう方が少なくありません。

一般的に退職金は、老後の生活資金として貯蓄されることが多いですが、夫婦で旅行へ行ったり、家の建て替えやリフォームの資金として使われたり、他にも、自動車の購入などの資金に充てる方もいますし、退職金を元手にビジネスを始めたりする方もいます。

しかし、年金の支給開始年齢の更なる引上げが検討されるなど、年金財政が逼迫(ひっぱく)している中で、年金だけで老後の生活ができるのだろうかと不安に思っている方は多いことでしょう。

また、退職後にも住宅ローンが残っていたり、子供の教育費がかかったりするご家庭もあるでしょうし、今後は医療費が増えることも予想されます。

そこで本コラムでは、退職金の正しい使い道をご紹介します。

退職金のほとんどは老後の生活費で消える!?

退職金さえもらえれば、年金と合わせて老後の生活は安泰だったのは、遠い昔の話で、今では多くの方が老後の生活に不安を抱いています。では、実際に老後の生活費がどのくらいかかるのかを簡単に計算してみましょう。

まず、金融広報中央委員会が実施している「家計の金融行動に関する世論調査」の平成30年調査結果によると、1カ月当たりの老後の最低生活費が27万円となっています。

また、厚生労働省によると、サラリーマン家庭の夫婦2人の年金額は、1カ月あたり約22万円です。そのため、毎月5万円、1年間では60万円足りないことになることから、その不足分を退職金や貯蓄で補うことになります。

年金支給開始年齢を65歳として、85歳までの20年間の不足分を退職金と貯蓄で賄うとすると、60万円 × 20年間 = 1,200万円が必要になります。

厚生労働省の調査によると、退職金の平均額は、1,941万円(勤続20年以上、かつ45歳以上の大学卒者の場合)ですので、老後の生活費の不足分を賄うだけなら、十分といえますが、住宅ローンが残っていたり、子どもの結婚資金の援助などを行えば、たちまちなくなってしまいます。

余裕資金があれば資産運用も検討する

前項のように、老後にどのくらいの生活費がかかるのかを計算し余裕資金があれば、資産運用を検討してもいいかもしれません。

多くの方は退職金を受け取った後、銀行に預金すると思いますが、この低金利時代に銀行にお金を預けても、増えることはありません。貯蓄を切り崩して生活するというのは、とても不安なものです。

そこで、資産運用をすることによって、今ある資産を増やすことを考えてほしいのです。

退職金のようなまとまった資金が手に入ることは、人生においてなかなかあることではないので、資産運用をするチャンスでもあります。お金を増やすことができれば、精神的に余裕ができますし、安心して老後を過ごすことができます。

ただし、資産運用をしていく上で注意すべき点は、もちろんあります。

お金を増やすために資産運用をするわけですが、投資にはリスクが伴うということを認識する必要があります。

しかし、リスクの低い投資商品を選択すれば、リスクを減らすことは可能になります。得られるリターンに注目するだけではなく、それに見合うリスクなのか、そのリスクは自身が許容できるのかという視点が大切です。

今まで資産運用を行ったことがない方は、資産運用のアドバイスを行う専門家やFP(ファイナンシャルプランナー)などに相談してみるのもひとつです。

退職金の正しい使い道とは?

老後の生活費や資産運用についてご紹介してきましたが、退職金の使い道に正解はありません。
高齢化社会を迎え、退職後も働く方も増えてきました。退職した方の中には、それまで仕事ばかりしていて、退職後に何をしたらいいのかわからないという方も少なくありません。

そのような方なら、たとえ老後資金に余裕があっても、健康に問題がないうちは、働いたほうがよいのかもしれません。働くことによって精神的にも肉体的にも充実するのであれば、健康的ですし、何より収入を得られることから、家計の助けにもなるので一石二鳥です。

退職金を受け取る前、できれば30代、40代の若いうちから、将来の生活について夫婦で話し合い、しっかりとした資産管理を行うのが理想です。

この記事の監修者

北野 琴奈ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)

津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。実践型ファイナンシャル・プランナーとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。TBS「がっちりマンデー!!」「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。