金は永遠に価値を失うことのない安定資産

金は安定資産と言われています。その証拠に、株式市場が停滞したときや、国際情勢が不安定なときといった有事の際ほど、投資の対象として人気が高まり、価値が上がることも珍しくありません。

また、世界各国の中央銀行において「準備資産」として保有されており、これは、万が一、国が破産するような事態に陥ったとしても貨幣とは異なり、金はそれ自体に価値があり、その価値がなくなることはないからです。こうした安定資産としての特徴から、金は投資対象としても非常に魅力的な商品と言えるでしょう。

本コラムでは、金投資のメリット・デメリットや、具体的な投資方法をご紹介します。

貨幣価値や市場の動向に左右されない安定性が金投資の魅力

金投資をするメリットは、金それ自体に価値がある点です。そのため、インフレーション(以下、インフレ)などで現金の価値が下がっても資産価値を維持できるのが金投資をする大きなメリットとなるのです。

日本では、資産の保有方法として銀行預金が好まれる傾向にありますが、インフレの際に最も大きな影響を受けるのが銀行預金です。インフレが起こると貨幣の価値が下がります。そのため、預金の金額は変わらなくとも、資産としての価値は下がっていきます。

それに対して、金はそれ自体に価値があるため、インフレによって資産価値が左右されることはありません。余裕があるときに、金投資を行い、インフレのリスクに備えておくとよいでしょう。

金の保有方法によっては、紛失・盗難のリスクがある

金投資のデメリットは、いくら金の保有量を増やしても、利息や配当が発生しないことです。この点が他の投資商品と最も異なる点と言えるでしょう。

また、金投資では現物取引を行うケースがあります。そうした場合、常に保有している金の紛失や盗難といったリスクに脅かされるため、金融機関の貸金庫を利用するなど、慎重に管理する必要があります。その他、金の購入には手数料がかかることなどがデメリットとして挙げられるでしょう。安定資産だからといって、楽に利益が生み出せるわけではないのです。

4つの購入方法を比較してみよう

金には大きく分けると「金地金」「金貨」「純金積み立て」「金関連ファンド」の4つの購入方法が存在します。

金地金

金地金の特徴は500グラム以上の取引は手数料無料で、500グラム未満の場合はバーチャージという加工のための手数料がかかる点です。金地金とはインゴットのことで、金塊のことを指します。金の延べ棒などをイメージすればわかりやすいと思います。投資の世界で取引される金地金は厳密な基準をクリアした高品質な物だけになっています。

金貨

金貨は少額から購入可能な商品で、「オンス」という単位で取引されています。金貨は身近な金商品として人気があり、一部の貴金属店では、ガチャガチャ形式で購入できるというニュースがメディアを騒がせたこともあります。気軽に買える投資商品として金貨はおすすめです。

純金積み立て

純金積み立ては、貴金属商や商社、証券会社、銀行などを通じて、毎月1,000円から3,000円を積み立てて、金を購入していく方法です。購入手数料が一般的に1.5%から5%、売却手数料が0%から5%となっています。金地金と比べて少額からの投資が可能で、バーチャージもかかりません。定額投資ということで、長く続ければ続けるほど金の購入価格を平均化することができるため、堅実な商品と言えるでしょう。

金関連ファンド

金関連ファンドは証券会社、銀行などを窓口にして1,000円から購入可能な商品です。購入手数料が約1%、信託報酬が約0.9%です。イメージとしては、投資信託と同じだと考えてもいいでしょう。証券の世界では物を証券化することがあります。不動産などを証券化したREITなどがメジャーですが、実は金という資産でも、そういった証券化がされているのです。

投資商品を考える上で重要なのは、自らのライフプランに合わせてどのような投資に取り組むかということです。積極的に資産を増やしたいならば、思い切ってリスクのある投資商品を選ぶ必要があるでしょう。

しかし、金投資の意義は、インフレに備えることや、株式や債券、不動産などと連動しない資産としての安定性です。すでに事業などで資産を形成していたとしても、リスク分散の観点から、金投資は非常に重要な意味を持つ投資商品なのです。