家計改善策として車を手放すことは有効な選択肢

30代や40代といった子育て世代では、教育費や住宅ローンの支払いなど、人生で最も支出が多くなる時期です。さらには、ご自身の老後の生活資金確保のことも考え始めなければならない時期でもあり、日々の家計が苦しく、なんとかしたいとお悩みのご家庭は多いでしょう。

そんなとき、家計改善策として、日々の生活費の節約や、通信費削減や保険見直しで保険料負担軽減といったことをイメージされる方は多いかと思います。確かにこれらの改善策も効果的なのですが、今回、家計改善策の選択肢に入れていただきたいのが「車を思い切って手放してみる」方法です。

特に地方にお住まいの方や、小さなお子さんがいるご家庭では、車がないと不便な場合もあるでしょう。しかし、改めて、車にかかる費用を確認してみると、その費用を軽減すれば、有効な家計改善策となることが分かります。

今回は車を思い切って手放すことで、家計改善にどのような効果があるのかをご紹介します。

車の購入時にかかるコストと、1ヶ月当たりの保有コスト

車にかかる費用として、まずは購入時に自動車本体の購入費、消費税、自動車取得税、車庫証明費用、リサイクル費用といった費用がかかります。

仮に、購入時、これら全ての費用を足して300万円ほどかかったとしましょう。ローンは利用せず現金で支払ったとします。

一回きりの支払いですが、この車を10年間乗るとすると1年分のコストとしては30万円となります。

車を購入後は、ガソリン代、自動車保険料、車検費用など、またお住まいの環境によっては駐車場代が必要となる場合もあるでしょう。

各ご家庭の生活スタイルによって車の維持費は一律ではありませんが、参考までに、1年にかかる継続的な車の維持費用をイメージしていただくために概算ですが、シミュレーションをしてみます。

(コンパクトカー1.5Lを想定・1年分)
・ガソリン代         10万円
・自動車保険料          5万円
・車検費用            7万円

(重量税・自賠責保険含む1年当たり)
・駐車場代           12万円
・自動車税          3.4万円
・洗車・オイル交換等メンテ費用 1万円

あくまでもざっくりとしたイメージでのシミュレーションですが、以上の費目を合計すると1年分の保有コストは38.4万円。1ヶ月当たりに換算すると約3.2万円です。

ここに前述の購入時費用30万円も考慮すると、1年分の費用はトータルで68.4万円。1ヶ月当たりの車の保有コストは5.7万円となります。購入から10年間のトータル保有コストは684万円です。

仮に40代の方が10年ごとに同じランクの車を購入し、今後同じように車を70歳まで利用し続けた場合には3回の購入機会があり約30年間維持コストがかかりますので、生涯の車の保有コストは約2,000万円となります。

ここまでは車1台での計算ですので、もし家族で2台以上保有している場合、車にかかるトータルコストは増えると考えるのが自然でしょう。

家計が苦しくなんとかしたいと思ったときには、もし複数台の車を持っているなら1台でやっていけないかと考えてみる。また、思い切って手放して生活をしていけないかということも検討してみてください。
車との付き合い方の見直しは、生涯支出を1,000万円単位で削減できる可能性もある有効な家計改善策となります。

公共の交通機関やタクシー、レンタカー・カーシェアを利用する

車の保有コストの大きさに気づいて、「もったいないかも」と思い至っても、やはり、住んでいる地域によっては移動手段として車は欠かせない存在でもあるでしょう。また、小さなお子さんがいると塾の送迎などに必要と思われる方もいらっしゃるかと思います。

しかし、手放してみると意外と「車なしでも大丈夫」と感じる可能性は大いにあります。

例えば、車の代わりとなる移動手段としては、バスや電車等の公共交通機関の活用。自転車や歩くことも入ってきますね。大きな買い物があるときや、時間がないときなどはタクシーを利用してもいいでしょう。
仮に週に3,000円分のタクシーを利用しても1ヶ月のタクシー代は1.2万円ほどです。年間では14.4万円です。
車の保有コストを考えると、簡単にこれくらいの費用は捻出できるように感じませんか?

これまで車を移動手段の中心で使い続けてきた方が、いきなり、公共交通機関や自転車などへ変更した場合、最初は、面倒と感じることもあるかもしれません。ただ面倒と感じるのは最初だけで、すぐに慣れてくるものです。

どうしても車が必要なときにはレンタカーやカーシェアという手もあります。

車を手放すことは、バス停や駅まで歩く機会も増えることになりますので、家計も改善でき、歩く機会が増えることによって、健康にもいい影響を及ぼしますので、一石二鳥の効果が期待できます。

計算上、車を手放すことが家計改善に効果があるということが分かっても、実際に手放すとなるとかなりの勇気が必要でしょう。また、子どもも含め家族の協力も必要です。所有する車を全て手放すまでいかなくても、台数を減らす、1台は軽自動車にするといった方法もコスト削減効果は十分期待できます。

この機会に皆さんの車の保有コストを確認していただき、本当に車が必要かどうか、検討してみてはいかがでしょうか。