ライフイベント別出費のケーススタディ 緊急時の備え

病気や怪我は予期せずやってくる! 急な出費に備えておこう

ライフイベントの出費が多い世代が30代。結婚や子供の誕生、マイホーム購入ローン返済など、出費が発生するイベントが次々とやってきます。だからこそ、計画的にそれらの出費に対して準備をすることは大切で、実際に意識している人は多いようです。しかし、この世代が意識するべき出費で、意外と皆さんが想定できていないのが‟緊急時の出費“。まだ具体的に想像することができる人は少ないようですが、誰にでも起こりうるリスクです。予期せぬ急な出費こそ、生活費を圧迫します。

急に病気になったら……怪我をしてしまったら……どうなるでしょう?
いくらぐらいの出費が必要になるのか。もし回復するまで働けなくなったらどうなるのか。考えたことはありますか?

万が一そんな状況になってしまったときなるべく慌てずにすむように、費用に関するリスクを認識し、準備しておきましょう。

急な出費としてまず考えられるのが、病気や怪我の治療費や入院費です。生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査」によると、30代の入院では、平均入院日数は15.5日、平均自己負担額(総額)は190,000円となっています。

30代に過去5年以内の入院経験がある人の統計をとったところ、10.2%でした。その数字を高いとみるか低いとみるかは人それぞれです。ただ、10人に1人は、30代のうちに予期せず19万円の治療コストが発生することとなります。

9万円以上は支払う必要が無い? 会社員が受けることができる保証

予期せぬ出費は、多くの人にとって生活に影響を与えてしまう重要な出来事です。ただあなたが会社員なのであれば、負担を軽減することができる保証制度があります。

まずほとんどのケースで適用されるのが健康保険。負担が3割となります。また、医療費の総額が高額となった場合には、超える分について支払う必要がありません。高額療養費制度といい、この制度では、同じ月に同じ病院でかかった医療費が自己負担限度額(月額約9万円)を負担の上限とし、これを越える分については高額療養費が支給されます。例えば、医療費が100万円かかったケースを考えます。この場合の窓口負担は3割の30万円。ここで、30万円のうちの約21万円が高額療養費として支給されるので、実際の自己負担額は負担上限の約9万円で済むのです。

病気や事故によって働くことが困難になったとして、働けない期間の収入が0になってしまうと大変です。ただし会社員であれば、働けなくなったとしてもいきなり無給になるわけではありません。

入院期間中は、有給休暇が利用できますので、まずは消化しましょう。有給休暇日数をすべて使用したあとには、健康保険から傷病手当金が支給されます(月給の3分の2を最長で1年半)。さらに治療が長引いた場合は、障害年金の対象となる可能性があります。

このように、会社員であれば収入が途絶えて療養費を払えなくなってしまう心配はほとんどありません。公的保険や会社の制度などを利用すれば、入院治療費はほとんどカバー可能といえます。

リスクに備えた事前準備「保険加入」

会社員であればこのような保証制度を受けることができますが、自分自身更にリスクに備えた準備をしておくことも重要です。また、自営業者や非正規労働者は、会社員と同等の保証を受けることができないケースもありますので、ますます自らのリスクヘッジが大事となってくるのです。

リスクへの事前準備として、任意保険への加入が考えられます。代表的なものとしては、「就業不能保険」「医療保険」「がん保険」の3種類が挙げられます。

会社員は傷病手当金を最大1年6カ月受け取れますが、自営業者や非正規労働者はその代わりに「就業不能保険」への加入が勧められます。また、日本人の死因の半分を占めるという三大疾病(がん・心疾患・脳卒中)への保障が手厚いタイプの「医療保険」も人気があります。先進医療対応特約などが設定されていることもあります。「がん保険」は、医療保険の中でがんに特化した保険。がんと診断されたときに一時金が支給されるほか、がんによる入院と手術は全面的にカバーしてくれます。通院特約が付いていることもあります。

病気や怪我以外のリスクにも備えておきましょう。自動車を運転するなら、対人対物に無制限の補償がある「自動車保険」への加入が必須です。また、子供ができたら考えたいのが生命保険。残された家族が配偶者一人であれば、ある程度自活することもできますが、子供を育てるお金もとなれば大変です。

保険に加入する際の考慮点をいくつか挙げておきます。
・保険料の支払い総額は世帯の手取り収入の1%未満に抑える
・ライフスタイルの変化があった場合に、保障内容を見直す
・ネット保険を利用する
・クレジットカードなどの”おまけ”保険を確認する

いったん任意保険に契約をすると、保険料が毎月の固定支出になります。この支出が何十年も累積していくと、保険は住宅に次いで人生で2番目に高い買い物になると言われます。保険内容が充実しているほうが安心ですが、不要なオプションや割高な保険があるのも事実です。保険がライフバランス全体に悪影響を及ぼさない程度に、自分にあった保険を選ぶよう、しっかりと調べて選択をしましょう。

保障が適用されない出費「家電買い替え」「結婚式のご祝儀」

見落としがちなのが、家電の買い替え費用です。掃除機やドライヤー、冷蔵庫、エアコン、洗濯機などは日々の生活に欠かせないものです。これらが壊れたときは、その都度購入しなければなりません。定期的にその時期は訪れるので、意外とまとまった出費となります。

家族4人用の冷蔵庫なら7万円~10万円、8畳用エアコンで5万円~8万円、7kg以上のドラム型全自動洗濯機では10万円以上の費用がかかります。家電製品の耐久年数は、およそ10年から15年程度と言われています。30代は、大学進学時の一人暮らし開始のタイミングで買い揃えた家電が、寿命を迎えることになります。

また、冠婚葬祭も急な出費となります。30代は周囲に結婚適齢期の友人や同僚、親戚が多数いる時期ですから、結婚式のご祝儀の出費が多くなるでしょう。月によっては複数回、結婚式と披露宴に参加することも珍しくありません。結婚式の祝儀の相場として社会人が支払うべき額は、3万円が妥当なところです。特別に親しい相手であれば、5万円以上ということもあります。日頃疎遠な友人や親戚から、急に結婚式の連絡があることにも備えておきましょう。

万が一に備えて現金での貯金をしておこう

これらの急な出費は予測しにくいですが、目の前の生活に影響を与える出来事となりますので、備えておくようにしましょう。安心だと思える金額は、給料の手取り3ヵ月~6ヵ月分と言われています。落ち着いて対応できるように、ある程度の貯蓄額は確保しておくべきです。

とはいえライフイベントが重なる時期に、貯蓄を積み重ねることは簡単ではありません。資産運用や節約など、効率的なお金の貯め方をこの機会に考えてみましょう。現在余裕資金があれば、NISAや積み立てNISAでの運用に回すのも良いでしょう。これらの口座では、運用利益が非課税になり、必要なときはいつでも引き出すことができます。

日々の生活習慣に気をつけて健康な生活を送る。そしてお金は浪費せずにできるだけ貯金することで、万が一の時にも対応できる余裕を持てるようにしましょう。