用途によって使い分けることで効率的な貯蓄が可能になる

一般的に日本人は現金を好みます。お金を貯めるなら、とりあえず銀行に預けておく人が多いのではないでしょうか。ある調査によると、日本人が持っている銀行口座の平均は3.5個。もちろん1個の人もいれば、6個持っているという人もいて、その用途は様々ですが、多くは貯金や日々の生活用などの目的ごとに使い分けています。

銀行には、代表的なものとして7種類の預金があります。複数の銀行口座で資金を分けるだけでなく、預金種類ごとの特徴を知り、利用することで、日々の生活や将来のライフイベントに向けた資産の確保が可能となります。これらの預金の名前と特徴を順にご紹介していきます。

普段使いで誰もが利用している「普通預金」

まず、もっともメジャーで、なじみのあるのが「普通預金」です。

「普通預金」は、ご存知の通り、キャッシュカードがあれば24時間いつでもATMでお金を引き出すことができます。毎日の生活でお財布代わりになっているという方も多いでしょう。お金を自由に預け入れ、払い戻しができる口座ですから、銀行取引の基本となる預金となります。

公共料金やクレジットカードなどの引き落とし、給与の振込口座に指定することができますから、通帳を見れば大まかな家計収支が把握できます。

金利によっては資産を増やすこともできる「定期預金」

「定期預金」は1年後、3年後など、あらかじめ期間を決めてお金を預け入れし、満期日までは原則引出すことができません。しばらく使う予定のない、まとまった金額の預け入れに向いています。

一般的には固定金利が設定されており、預入金額300万円未満をスーパー定期、300万円以上1000万円未満をスーパー定期300と呼んで区別しています。普通預金と比べて金利が高いメリットがありますが、現在(2018年9月)の都市銀行の定期預金金利は0.01%程度。100万円を1年間預けても、利息は100円(税込)と、あまり魅力的な金利とは言えません。

ちなみにネット銀行の定期預金を調べてみると、0.15%など高めに設定しているところもあり、お金を増やす目的としては利用する価値がありそうです。

様々な用途に使える万能型の「総合口座」

普通預金と定期預金の長所を組み合わせたものが「総合口座」です。お金を「貯める」、「ふやす」、「受け取る」、「支払う」、「借りる」といった機能がセットになっています。

日常生活で使うお金の出し入れは「普通預金」で、貯蓄は「定期預金」で行い、もしも公共料金の引き落としなどで「普通預金」の残高が不足しているような時には、自動的に貸付をしてくれる便利な機能もあります。

手形や小切手の支払いといった決済用に使われることが多い「当座預金」

手形や小切手の支払いに使われる預金が「当座預金」です。企業や個人事業主が業務上の支払いに利用する預金で、法律により利息を付けることが禁じられています。しかし、当座預金は「決済用預金」に該当するため、ペイオフの対象外となっており、万一銀行が破綻しても預金保険制度によって、利息がつく預金とは別に全額保護されます。

一定以上の金額を預ければ金利が高くなる「貯蓄預金」

「貯蓄預金」は、残高が定められた金額以上あると、多くの場合、普通預金より金利が高くなる預金です。貯蓄預金の多くは、残高に応じて段階的に金利が設定されています。

貯蓄預金のメリットとしては、預入期間がないため、いつでも自由に払い戻すことができるという、流動性の高さが挙げられます。突発的な支出など、急にまとまった資金が必要になった場合にも、スピーディに対応することができます。

お金の出し入れは自由ですが、普通預金のような自動引き落としや給与の受取といったサービスはありませんから、日常生活での利用には向きません。

1,000万円以上のまとまった金額から利用可能な「大口定期預金」

大口定期預金は、1,000万円から一括して預け入れ可能な大口の定期預金のため、退職金など、まとまった資金を効率よく有利に運用したい場合に向いています。

預入期間は1ヵ月から10年までの「定型タイプ」と1ヵ月から10年未満の「期日指定タイプ」があります。預入金額は1,000万円以上1円単位で、預入時の利率が満期日まで適用されます。また、総合口座にセットすることもできます。

小額からでもコツコツ貯蓄ができる「積立定期預金」

「積立定期預金」は、計画的に毎月、決まった日に預金の積み立てをして、目標額を目指す定期預金です。教育費、自動車購入費、住宅購入資金などのライフイベントに向けた目標額を設定した貯蓄に向いています。最低預入金額は1,000円以上に設定している銀行が多く、少額からでも手軽に貯蓄を始めることができます。

貯金を簡単に始めたいなら、給与振込銀行を利用するのがおすすめです。

貯金の習慣がない人にとって、資金移動を毎月行うのは意外に面倒な作業ですから、積立が続かない大きな原因になります。給与の振込指定をしている銀行で、引き落とし日を給与支給日の翌日に設定しておけば、ほとんど給与天引きと変わらない感覚で確実に貯めることができます。

資産形成の基本は先取り貯蓄ですから、積立を長期的に継続することで目標額を達成していくことが可能となります。