習い事費用は将来、お金に困らない範囲の予算が理想

子どもには、色々な経験をさせて可能性を広げてあげたいと考えるのは親として極めて自然なことです。しかし、今、習い事にお金を掛けすぎると、子どもの大学進学等の大きなライフイベントが訪れた時に「お金がない!」という状態になりかねません。でも、多くの方が今の「やらせてあげたい」気持ちに任せて、ついつい家計に無理があると感じながらも習い事の費用を捻出しています。

今回は、習い事に関するデータから、最新の習い事事情を確認し、将来お金で困らないようにするための習い事予算の決め方についてご紹介します。

すべての年齢帯で習い事の1位は「水泳」、2位は「英語・英会話」

リクルートが実施している「『ケイコとマナブ』2017年、子どもの習い事ランキング/費用に関するアンケート(調査対象:習い事をしている小学生以下の子どもを持つ女性927人)」によると、年齢帯別、「今、習っている習い事ランキング」は次のとおりです。

【未就学児】

1位 水泳     35.9%
2位 英語・英会話 30.1%
3位 体操     22.0%
4位 ピアノ    12.9%
5位 リトミック  10.0%

【小学校低学年】

1位 水泳     49.5%
2位 英語・英会話 25.2%
3位 ピアノ    23.6%
4位 書道     17.2%
5位 学習塾・幼児教室  11.7%
5位 体操     11.7%

【小学校高学年】

1位 水泳     36.9%
2位 英語・英会話 27.8%
3位 ピアノ    24.3%
4位 書道     23.3%
5位 学習塾・幼児教室 19.1%

どの年齢帯ともに登場しているのは全年齢帯でも1位「水泳40.8%」、2位「英語・英会話27.7%」、3位「ピアノ20.3%」です。水泳が全体の4割以上というのは目を引く結果です。水泳を始めたきっかけは、喘息対策や体力づくりなど体力強化の方が多いようです。

ただ、水泳は小学校高学年になると割合が下がっています。その代わりに、学習塾の割合が高くなっています。年齢が高くなるほど、習い事の割合は学習系が高くなる傾向があるようです。

同調査では「今後、習わせたい習い事」も聞いています。
全体で1位は「英語・英会話24.9%」、2位「水泳19.1%」、3位「書道14.3%」と、今習っている習い事と比較して学習系の習い事が上位にくる結果となっています。英語・英会話がトップにきているのは社会のグローバル化や、小学校の英語必修化の影響ではないでしょうか。

習い事費用の1ヵ月あたりの平均額は1.3万円、一人あたりの習い事数は1.92

次に同調査から2017年の1ヵ月あたりの習い事費用平均額、1人あたりの習い事数平均を確認してみましょう。

【全体】

1人あたり1ヵ月の習い事費用平均額  1万3,091円
1人あたりの習い事数平均       1.92

【未就学児】

1人あたり1ヵ月の習い事費用平均額  9,838円
1人あたりの習い事数平均        1.61

【小学校低学年】

1人あたり1ヵ月の習い事費用平均額  1万3,323円
1人あたりの習い事数平均        2.02

【小学校高学年】

1人あたり1ヵ月の習い事費用平均額  1万6,114円
1人あたりの習い事数平均        2.14

このデータからは子どもの年齢が上がるにつれて習い事費用、習い事数ともに増える傾向にあることが分かります。これらのデータは平均値ですので、平均額より多く習い事に費用をかけているというご家庭もあるでしょう。またこの平均額は1人あたりですので、兄弟姉妹がいると2倍、3倍と習い事に費用をかけているご家庭もあることも考えられます。

習い事数も平均で約2ですので、3つや4つの習い事をかけ持ちしている子どもたちもいことでしょう。

6割近くが習い事費用への負担を感じている

同調査では、これらの習い事の負担感についても聞いています。2017年の調査では4割以上の方が習い事費用が前年より増えたと回答しています。

また習い事費用の負担感は全体では58.1%の家庭が多少なり負担と感じています。負担感は子どもの年齢が上がるほど増す傾向にあり小学校高学年では62.8%の方が負担を感じている結果となっています。

大学費用と老後の積立資金の確保を優先し、習い事予算は残ったお金の無理のない範囲で

ここまで確認してきたデータで気になるのが負担感を感じている実態です。今回のアンケートで回答しているのは小学生以下のお母さんです。習い事に負担感を感じている人の中には、本当は将来のために少しでもお金を残していきたいけど、できていない状況になっているという方もいらっしゃることでしょう。

この機会に、ご自身の負担感のない習い事予算を見つけていただきたいと思います。

まずは大学費用やご自身の老後のためのゆとり生活資金準備のための積立資金を確保します。大学費用は子どもが18歳を迎える時期を目指して200万円~300万円を目安に積立資金を確保してください。

例えば子どもが5歳の時に大学費用準備に200万円を目指して積立を開始するなら、まずは毎月の手取り収入から積立資金約1.3万円を確保します。次に家計状況にもよりますが、できれば老後のゆとり生活資金の準備としては毎月の手取り収入の1割を残していけるようになるといいでしょう。

仮に30歳から年間手取り収入360万円(註:ボーナスは無しと想定)の方の場合、ご自身の老後のために月3万円の積立資金を確保します。この方が大学費用1.3万円の積立も同時にする場合、毎月30万円の手取り収入から4.3万円は将来のための積立資金に回しますので、残った25.7万円の中から習い事費用を捻出するようにします。

もし、この将来のための積立資金が確保できないほど、習い事にお金を使ってしまっている場合には、家計管理に問題ありといってもいいでしょう。習い事はどうしても親の「やらせてあげたい」気持ちが入る傾向がありますので、習い事予算は減らしたくないという方もいらっしゃるでしょう。その場合には、食費や通信費、保険料等の固定費で見直しの余地はないか探ってみていただきたいと思います。

習い事費用のかけ過ぎで将来のゆとり生活資金が確保できないような状態になることは皆さん避けたいかと思います。習い事は子どもの気持ちも聞いてみながら厳選しましょう。