マンションや店舗・事務所を賃貸運用するより高利回りと噂の「トランクルーム投資」をご存知ですか?

トランクルーム投資は、コストをかけずに空き家・空き地を有効活用できる新時代の不動産投資として注目を集めています。今回はそんなトランクルーム投資の収益性や将来性、そのメリット・デメリットについて徹底研究します。

トランクルームを貸し出すビジネスとは?

「トランクルーム」とは倉庫や物置のことで、一部の分譲マンションにはバルコニーと同じ「専用使用権付き共用スペース」として備え付けられています。各戸の玄関横に配置されていたり、共用廊下の一角に複数戸分が並べられていたりと、建物設計によって設置スタイルはさまざまです。

広さは1~2畳程度で、季節家電やアウトドア用品といった頻繁に使わない物品の収納に大変便利です。しかし、トランクルームが付いている分譲マンションはそれほど多くありません。トランクルームが付いていないマンションでは、家の中で一番狭い部屋を物置代わりにしているケースがほとんどです。

しかし、子供が成長してもう一部屋が必要になれば、この物置部屋に詰め込まれた荷物をどこかへ移動しなければなりません。たとえ子供がいない共働き家庭であっても、このたびのコロナ禍で在宅勤務が当たり前となり、リビングや寝室の片隅で仕事を続ける日々に限界を感じているのではないでしょうか。

このような背景から、部屋を埋め尽くす荷物の受け皿として賃貸トランクルームのニーズが高まっているのです。

ターゲットは一般家庭だけでなく中小企業も

賃貸倉庫といえば、これまで製造・物流の専門業者を対象にした大規模物件がメインでしたが、最近は一般家庭の小規模倉庫(=トランクルーム)ニーズが高まっているため、賃貸トランクルーム経営に乗り出す倉庫業者が増えています。

ニーズの広がりは一般家庭に留まりません。テレワーク体制に切り替えてオフィスを縮小した中小企業の書類・商品ストック場所としても引っ張りだこです。

賃貸トランクルームには「屋内型」と「屋外型」の2つのタイプがあります。屋内型は、ビルのワンフロアを広さ0.5~4畳程度にパーテーションで区切って貸し出すものです。都心部に多く、長い間入居者が決まらず空室が続いている貸店舗・オフィスの救済策になっています。月額賃料は1畳2万円前後です。

一方の屋外型は、更地上に複数配置された輸送用コンテナを1基丸ごと貸し出すものです。郊外に多く、なかなか買い手が付かない戸建分譲地や空き地、契約件数の少ない大型駐車場などの再生策となっています。コンテナ1基の広さは約8畳ですが、ハーフサイズ(約4畳)のコンパクトタイプもあります。月額賃料は1畳3万円前後です。

トランクルーム投資をはじめるには

トランクルーム投資をはじめる前に、まず法的な制限について知っておく必要があります。一般的な倉庫業とは、製造・物流業者向けの大規模事業であることは前述の通りです。

倉庫業者は「国土交通大臣の倉庫業者登録を受けること」や、「倉庫管理主任者を置くこと」「倉庫内にある預かり物品に保険をかけること」といった倉庫業法の厳しいルールを遵守する必要があります。

常に管理人がいて、置いている物品に万が一被害があった場合は保険が効くとなれば、顧客にとっては大変ありがたい話です。しかし、「荷物の出し入れは倉庫業者が行い、顧客を倉庫内へ立ち入らせてはいけない」という面倒な定めもあります。これでは顧客が自由に荷物を出し入れできません。そこで、倉庫業法に縛られない「非倉庫業者」が台頭しはじめたのです。

原則、倉庫業者は倉庫業法に則ってサービスを提供し、顧客との間で結ぶ契約形態は荷物を預かり管理することを目的とした「寄託契約」になります。一方の非倉庫業者は、ビルのワンフロアやコンテナといった空きスペースを倉庫や物置として貸し出し、その契約形態は宅地建物取引業法に則った「賃貸借契約」になります。

このように、遵守する法律や契約形態の違いによって倉庫業は2種類に分かれます。非倉庫業者は倉庫業法に縛られないため、倉庫管理主任者を置くことや預かり物品に保険をかける義務はなく、加えて物品の出し入れや管理は顧客任せにしても問題なし、という好都合な条件で賃貸経営ができます。

「自己運営」か、「フランチャイズ」か

賃貸トランクルームの経営は自己運営か、またはフランチャイズチェーンの加盟店になるかなどの選択肢があります。遣い様のない空き家や遊休地を抱えているオーナーは自己運営でこれらの“負動産”を有効活用する手もあります。

しかし、自己運営の場合は経営計画から広告宣伝までを一人で行わなければならず、とくに賃貸募集は無名の個人投資家にとって大変困難な作業になります。

フランチャイズチェーンの加盟店は、フランチャイザーが用意したトランクルーム物件を購入、または賃借して運営するものです。加盟後は賃貸募集や契約・管理までフランチャイザーが全て代行してくれます。

そのためサラリーマン投資家や投資初心者でも安心して取り組めますが、加盟店ロイヤリティや、賃借物件の場合は家賃・地代などの定額負担がかかります。

ちなみに、フランチャイズチェーンが示す経営収支の目安は以下の通りです。

・初期投資(設備費)
 室内型:200~500万円程度(区分オフィス・ワンフロアのパーテーション設営費など)
 屋外型:800~1,200万円程度(空き地に配置するコンテナの購入・輸送費など)
・年収:100~200万円
・実質利回り:10~15%

上記の通り、トランクルーム投資は一般的な不動産投資より初期投資も少額かつ高い利回りで運営することができます。加えて、トランクルームは物品を保管することが主要目的であり、人が生活したり仕事をする場所ではないため、キッチンやトイレ、バスルームといった水回り設備がいりません。

水回りの新設・交換やメンテナンス費用がかからないため、一般的な賃貸物件と比較してランニングコストも低く抑えられます。テナントから「給湯器が壊れた」「トイレが詰まった」などクレームが入ることも一切ありません。トランクルーム投資は経済的にも精神的にもストレスフリーな資産運用法なのです。

しかし良いことばかりではありません。賃貸トランクルームの年間契約ピークは引越しシーズン(3~4月)に集中しており、このタイミングを逃すと丸々1年空室リスクを負うことになります。

また地域のニーズをしっかり捉えていないと、何年たっても契約が決まらない場合もあります。ネックになるのはトランクルームのサイズです。収納面積が「大きすぎる」または「小さすぎる」といった理由から借り手がまったく付かないこともあるのです。

これは主に自己運営の投資家が陥りやすいミスです。経営に不安があれば、入念なマーケティングリサーチを行っているフランチャイズチェーンの門戸を叩くことも一つの方法です。

まとめ

コロナ禍による在宅勤務も相まって人気が伸びはじめている「トランクルーム投資」は、不人気賃貸物件の空室・空き地対策に有効な資産運用法です。倉庫業法に縛られない経営・契約手段を取れば、ローリスクで賃貸経営が行えます。

一般的な不動産投資より高い利回りが望めて、その上ランニングコストも低く抑えられるのがトランクルーム投資の魅力といえます。不動産投資経験者なら自己運営で、ビギナーならフランチャイズ加盟を検討するのも良いでしょう。