ワクチン接種の本格始動やレストラン営業再開など、海外から次々と明るいニュースが届くものの、日本国内はまだまだ気軽にショッピングやレジャーへ出かけられる状況ではありません。ましてや海外渡航などいつになったら再開できることやら…もどかしい限りです。

マレーシアやタイ、フィリピン、そしてハワイと、出かけたい海外リゾートは数あれど、いまは辛抱のとき。こんなときは夢の彼の地に想いを馳せて、現地の不動産事情に触れてみることにしましょう。

マレーシア

ランカウイやペナンといったビーチリゾートで有名な「マレーシア」は、熱帯雨林気候ならではのウェット感はあるものの、年間を通じて気温が20℃以上という環境は、極寒を知る日本人にとって、あこがれの場所です。

マレーシアの賃貸住宅事情

クアラルンプール中心部にある単身者向け賃貸住宅は、30~50㎡台のコンドミニアムが主流です。室内家具やエアコン・駐車場付き、加えて共用部には居住者が自由に利用できるプールやジムもあり、家賃は月額4~6万円程度です。

入居までのフローは、まず契約前に家賃1カ月分の手付金(契約後、家賃に充当)を支払い、契約時はデポジット(敷金または保証金に該当)として家賃3~4カ月分を支払います。デポジットには内訳があり、3/4は居室分、1/4は水道光熱費分になります。

契約形式は1年間の定期借家契約が一般的で、賃借人から途中解約する場合はペナルティとして契約残期間の家賃全額支払いを要求されます。

マレーシアの投資物件事情

クアラルンプールで販売されているコンドミニアムは2000年代に建てられた築浅物件が多く、そのほとんどが高層タワーで総戸数も300~400戸超と大規模なのが特徴です。50㎡台住戸の価格相場は2,800万円(坪単価170万円)前後で、家賃相場から換算する投資表面利回りは2.6%程度になります。日本と比較して価格は手頃ですが、利回りが魅力的ではありません。

タイ

パタヤやプーケットなどのビーチリゾートのほか、アユタヤ遺跡など歴史ツアーも楽しめる「タイ」。熱帯モンスーン気候ならではの猛暑時期や雨期を避けた11月~翌2月が観光のベストシーズンといわれます。

首都・バンコクと観光名所を結ぶのは、タイ国有鉄道(SRT)やARL(エアポート・レール・リンク)、MRT、BTS(高架鉄道)といった鉄道網です。鉄道の玄関口として知られる「フワランポーン(別名クルンテープ、又はバンコク中央)」駅は2021年秋にその役割を終える予定で、新たに開業する「バンスー中央」駅がその役割を引き継ぎます。

タイの賃貸住宅事情

バンコク中心部にある単身者向け賃貸住宅は、共用施設充実のコンドミニアム、室内清掃・食事付きのサービスアパートメント、個人オーナーが1棟管理するアパートの3つに分類されます。いずれも部屋の広さは30~50㎡台がメイン、家賃は付帯するサービス内容によって様々ですが、30㎡台で概ね月額7万円、40㎡台で月額10万5,000円程度です。

入居までのフローは、契約前に手付金(金額は契約によりまちまち)を支払い、契約時は家賃2カ月分のデポジットを支払います。また、室内清掃などのサービスが付いたコンドミニアムの場合は、契約書が居室賃貸借分と付帯サービス分の二本立てとなり、契約上の家賃配分は1/2ずつ(家賃10万円の場合、居室賃貸料5万円、サービス料5万円として契約)となります。

いずれの形態も3年以内の定期借家契約が多く、途中解約した場合はペナルティとしてデポジットが全額没収されます。

タイの投資物件事情

タイの都市部で現在販売されている30~50㎡台中古コンドミニアムの価格を見ると、坪単価150~300万円と、階層や駅からの距離といった諸条件により格差があります。総体的に見て、40㎡台で3,300万円(坪単価240万円)前後が平均値といったところです。ここから40㎡台賃貸物件の投資表面利回りを算出すると3.8%程度になります。

フィリピン

フィリピンには、スペイン植民地時代の歴史が色濃く残るビーチリゾートとして人気のセブ島があります。熱帯モンスーン気候のため気温は年間通して25~29℃、6~10月の雨期は降水量200~300㎜台となり、1~4月の乾季は降水量1ケタ台となる極端な気候が特徴です。

フィリピンの賃貸住宅事情

フィリピンの単身者向け賃貸住宅は、家具・家電はもちろんのこと、プールやジム、24時間セキュリティも完備したコンドミニアムが一般的です。部屋の広さは20~40㎡台で、家賃は20㎡台で月額6万円程度、30~40㎡台で月額8万円程度です。

入居までのフローは、契約前に家賃1カ月分の予約金(契約後は家賃に充当)を支払い、契約時には家賃2~3カ月分のデポジットと、契約期間中の全額家賃を小切手(PDC)一括で支払うことになります。契約期間は1年で、更新の場合4~6%の家賃値上げは当たり前、都市部であればそれ以上の割合で上がる可能性もあります。

また、契約終了後のデポジット返還についてはルーズなオーナーが多く、返金まで長期間かかったり、最悪は返却されないケースもあります。

フィリピンの投資物件事情

フィリピン都市部に建つ中古コンドミニアムは築10年前後の高層タワーが多く、価格は20㎡台の中古コンドミニアムで1,000万円(坪単価160万円)前後、30~40㎡台で1,500万円(坪単価140万円)前後です。家賃相場から換算すると、投資表面利回りは20㎡台で7.2%、30~40㎡台で6.4%程度になります。

ハワイ

言わずと知れた世界屈指のビーチリゾート「ハワイ」。11月~翌3月は不意のスコールに見舞われることが多いものの、年間を通じて気温は22~27℃と爽やかな気候に恵まれています。中心都市はホノルル空港(正式名称:ダニエル・K・イノウエ国際空港)があるオアフ島です。

市街地を巡る交通網は主に路線バスで、ショッピングのメッカであるアラモアナやワイキキをはじめ、観光拠点のダイヤモンドヘッドやパールハーバーなどへのアクセスに便利です。

ハワイの賃貸住宅事情

高層ホテルやブランドショップが林立するワイキキ。このエリアにある単身者向け賃貸住宅は家具付きのコンドミニアムが中心です。部屋の広さは30~50㎡台が多く、家賃は30㎡台で月額14万円前後、40~50㎡台で月額20万円前後です。

6カ月程度の短期間でも賃貸借契約を結ぶことができ、契約期間が長ければ長いほど家賃が安くなる傾向にあります。しかし、中途解約は違約金がかかる場合があるので、長期契約する場合は注意が必要です。

契約前の手付金や予約金はなく、契約時に支払うデポジットは家賃の1カ月分です。これら初期費用や家賃は小切手で支払うのが一般的です。

ハワイの投資物件事情

ワイキキで販売されているコンドミニアムは築年が古いものがほとんどで、築40〜50年は当たり前、築60年以上の物件も数多く現存・稼働しています。こんなに古くても30㎡台・2,800万円(坪単価260万円)前後、40~50㎡台・6,000万円(坪単価440万円)前後という高値で取引されるのは人気リゾート・ハワイだからこそ。投資表面利回りは30㎡台で4%、40~50㎡台で6%程度です。

まとめ

世界各国の賃貸借契約に共通していえるのは、いずれも大家側に有利な条件となっていることです。

多くの物件がコンドミニアムスタイルで、家具・家電の完備、共用部サービスに資産を投じているため当然かと思います。海外不動産への投資は様々なハードルがありますが、軌道に乗ってしまえば日本で投資物件を運用するより安定的に稼げるかも知れません。