タワーマンションは購入希望者が多く、抽選販売となることも珍しくありません。なかには買えること自体がラッキーともいえるほど、高倍率なタワーマンションも存在します。本記事では、多くの人を引き付けるタワーマンションの魅力のほか、タワーマンションだからこその注意点もあわせて解説します。

タワーマンションの定義とは?

そもそも「タワーマンション」とはどんなマンションを指すのかご存じでしょうか? 実は法律上「タワーマンション」という言葉は定義されていません。

建築基準法では、高さ60m以上の建物が「超高層建築物」とされています。また、2017年の地方税法改正でも、高さが60mを超える建築物のうち、複数の階に住戸が所在しているものを「居住用超高層建築物」と定義し、固定資産税評価方法を見直しています。

このことから、一般的には高さ60m以上のマンションがタワーマンションと呼ばれています。また、高さ60mのマンションは20階の階層となることが多いため、20階建て以上のマンションをタワーマンションと考えることもできます。

タワーマンションのメリット

では、タワーマンションは一般的なマンションとどのような点が異なり、また、メリットがあるといえるのでしょうか。

高い技術を持つデベロッパーしか建設できない、堅牢な構造物

高さ60m以上にもなる建物の場合、低層の建物に比べ、耐震性や耐久性といった建物の品質を高い水準で維持しなければ危険です。そのため建築基準法上、超高層建築物の建設は国土交通大臣の認定を受けるよう定められています。

つまり、超高層建築物=タワーマンションは、建設会社が簡単に建てられるものではなく、国道交通大臣に認定された高い建築技術水準や施工管理が可能なデベロッパーのみが開発・販売しているということになります。

もちろん、低層マンションの建設がずさんという意味ではなく、タワーマンションは耐久性や耐震性の面で、より厳格に高いレベルの建設が求められているということです。この建物の品質の高さが、タワーマンションの第1のメリットだといえるでしょう。

建設されている場所の多くが「生活利便性の高いエリア」

日本の市街地は、都市計画法という法律によりエリアごとに用途が定められています。これを「用途地域」といい、建設することができる建築物の種類や高さ、容積率(土地面積に対する延べ床面積の割合)、周囲への日照など、さまざまな規制が細かく定められています。

そのため、タワーマンションのような高層建築物が建てられる場所は限られており、その多くは、比較的規制が緩い商業地域や準工業地域になります。これらの地域は駅周辺などの商業エリアであることが多く、さまざまな種類の建築が可能なことから、生活利便性の高いエリアとなります。地下道やアーケードを通じて駅直結となっているタワーマンションも多く、通勤、通学に利便性な物件も多いのです。

さらに、1階や2階部分に飲食店やコンビニ、スーパーといった生活関連の商業テナントが複数入ることも珍しくありません。ちょっとした用事ならマンション内で完了するところも魅力でしょう。

防犯性が高く静粛な住環境

駅近隣エリアの住宅では、生活利便性が高い反面、犯罪や騒音といったネガティブな要素も気になるところです。

しかし多くのタワーマンションでは、有人受付や防犯カメラなどの防犯設備が整っており、またコンビニが建物内にあるなど、夜間も建物外に出ずにすむことから、高い防犯性が保たれています。

また、もともと建物の構造が重厚なだけでなく、高層階は地上から距離があるため、静粛性も高くなります。便利でありながら、安全で静かな生活が保てることもタワーマンションのメリットです。

あえていうまでもありませんが、高層階ならいつでも爽快な眺望を楽しめます。とくに夜は格別でしょう。室内の明かりを消して眼下の夜景を眺めれば、日常の喧騒やストレスを忘れられるに違いありません。

豊富な共用施設

ゲストルームやラウンジ、キッズルーム、保育所、集会所、場合によってはスポーツ施設やコンシェルジュサービスなど、共用施設、共用サービスが充実していることは、タワーマンションに限らず、住戸数の多い大型マンションに共通したメリットだといえます。

ステータス性、節税効果による資産価値の下がりにくさ

タワーマンションは、一般的なマンションに比較して希少性が高いため、人気が維持されやすく、中古でも価格が落ちにくいという特徴が見られます(物件によって異なります)。

また構造上、一定の面積に多くの住戸が集まっているため、一住戸あたりに按分される敷地割合(土地の割合)が少なく、相続税評価の際に、時価と相続税評価額との乖離が、通常のマンションと比べて大きくなります。そのことから、タワーマンションの保有が相続税対策になるといわれています。

現状では、建物自体の希少性によるプレミアム感や、相続税対策効果への期待により、タワーマンションの資産価値は維持されやすいといえます。この点もタワーマンションを保有する大きなメリットです。

賃貸にも出しやすい

タワーマンションは人気が高く賃貸需要が見込めるため、入居者がつきやすく、相対的に高い賃料を得られる可能性があります。投資用に購入する場合はもちろん、転勤などの事情で部屋を離れる場合も貸しやすいのがメリットです。

タワーマンションのデメリット

上記のように説明するとメリットばかりのようですが、タワーマンションだからこそのデメリットも存在します。

停電や断水で受ける影響が大きい

台風による水害で、タワーマンションが停電や断水の被害を受けたことは記憶に新しいでしょう。もちろん、一般的なマンションも自然被災のリスクは同等ですが、タワーマンションの高層階は、停電や断水などの影響をかなり大きく受けることになります。

そのため、一般の住宅選びと同様ハザードマップなどを確認し、災害リスクが少しでも低そうな地域を選ぶという意識が重要です。

タワーマンションは高い耐震性能を持つため、東日本大震災クラスの大地震でも建物自体が大きな損傷を受けることはほぼ考えられません。しかし東日本大震災の際、いわゆる「長周期地震動」というゆったりとした大きな揺れにより、高層階の住戸では室内家具の転倒が多くみられました。そのため、転倒防止用の器具を取り付けるといった備えが求められます。

大規模修繕の費用が高くなる可能性も

高度な建築技術で建てられているタワーマンションは、大規模修繕の費用も高額になることが想定されます。しかし、日本でタワーマンションが普及し始めてからまだ日が浅いために、大規模修繕の実例は多くありません。

建築から40年、50年と経ったときにどれくらいの修繕費が必要となるか不明瞭であるのは、デメリットのひとつだといえます。

同程度の広さの物件に比べると割高

近隣エリアにある同程度の広さの一般的なマンションと比べると、タワーマンションは高価格です。もっとも、価格にプレミアが乗っているため資産価値が落ちにくいというメリットの裏返しでもあります。また、価格が比較的高いマンションの場合、住民の所得も高いことが想定されるため、管理費滞納による管理費積立不足などが、通常のマンションに比べると生じにくい傾向はあります。

まとめ

高層階でも低層階でも、タワーマンションならではの魅力やメリットがあります。しかし同時に、タワーマンションだからこそのデメリットも存在します。購入を考える際は、これらについてよく比較・検討することが大切です。