安定的な定期収入を期待しながら、万一のときには生命保険の代わりにもなる

「サラリーマン大家」――。最近この言葉を耳にする機会が増えていませんか? 会社員という本業を持ちながら、副業としてアパートやマンションなどの賃貸経営を行うことで、本業以外に収益の仕組みを持つ人のことです。賃貸経営というと、一部の不動産オーナーに限られた事業と思われがちですが、実はサラリーマンでも、自己資金ゼロでも可能です。賃貸住宅の大家さんになるための、不動産投資の仕組みやメリットなどについて考えていきます。

いま不動産投資に注目が集まる理由とは?

会社員や若年層の間でいま、不動産投資に注目が集まるのには、大きく2つの理由が考えられます。1つ目が将来への不安。成熟社会に突入した日本では、かつてのように国全体として右肩上がりの経済成長が期待しにくくなっています。正社員であっても、給料が伸び悩んでいる人は少なくありません。また少子高齢化の影響で、老後の生活資金の柱である公的年金も不安視されています。今後、受給額が引き下げられたり、受給開始年齢がさらに引き上げられたりする可能性もあるでしょう。

その一方で政府は緩やかなインフレ政策を志向しているので、この先さらに物価が上昇する懸念もあります。そうなると、日々の生活はますます厳しくなり、将来のための資金準備も思うように進まない――そんな悪循環になってしまうかもしれません。「長く働いていれば自然と給料も上がり蓄えも増え、老後は年金で悠々自適」というライフプランが描きにくいなかで、退職後も家賃収入を期待できることから、不動産投資が注目されているのです。

そして2つ目が超低金利環境です。不動産投資を行う場合には、住宅ローンを活用するケースが大半です。そのローン金利が歴史的低水準になっているのです。例えば物件価格が同じ場合でも、ローン金利が低ければ、その分トータルの支払額は少なくてすみます。これをチャンスととらえて、金融機関から融資を受け、アパートやマンションのオーナーになる人が増えているのです。

万一のときは、定期収入を生む資産を家族に残せる

改めて不動産投資のメリットとは何でしょうか。なんといっても家賃収入を原資としたインカムゲインを安定的に期待できる点が最大の魅力です。家賃収入から住宅ローンを返済し、残った分が収益になります。ローンを完済すれば、その後の家賃収入は全額収益になります。退職後の貴重な定期収入の仕組みがつくれるわけです。

さらに住宅ローンを組むので、団体信用生命保険に加入できる点も大きなメリットです。ローン支払い中に万一のこと(死亡や所定の高度障害状態)が起こり、ローンの支払いが継続できなくなっても心配いりません。団体信用生命保険に加入していれば、残りのローンの支払いは免除されるとともに、遺族に物件を残すことができます。定期収入を生む資産をのこせるため、生命保険の代わりとして検討する人が増えています。

人口減少社会では、空室リスクへの対応が必須

とはいえ、不動産投資を成功させるためには、常に入居者がいることが前提になります。入居者がいなければ、当然、家賃収入は得られません。しかし、ローンの支払いは続きます。蓄えを切り崩してローンの返済に充てるというのでは本末転倒。不動産投資で最も避けたいのは、空室リスクといってもいいでしょう。特に日本では少子高齢化や人口減少社会の到来で今後、賃貸住宅のニーズが縮小していくことが懸念されています。空室リスクを避けるためには、物件の立地がとくに重要になります。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、東京は2045年になっても人口は増えるとみられています。沖縄や愛知県、神奈川県などは若干減少するにせよ、減り方は緩やかです。一方、秋田県や青森県は、2030年の時点でも現状よりも3割程度、人口が減少する可能性があるようです。

こうした将来推計人口から考えてみると、不動産投資を実践するのであればやはり都内で、それもできるだけ都心部で行うのがよいでしょう。企業や大学が集積する都心部には、地方から流入してくる人も多く、急激に単身世帯が減ることは考えにくいからです。単身者向けの賃貸住宅は今後とも一定のニーズが期待できます。また、ファミリー世帯であっても利便性の高い都心部なら、賃貸のニーズも旺盛でしょう。

「目利き力」に優れたパートナー選びが成功への近道

人口が増え続ける時代であれば、物件を建てれば入居者は自然と集まってきたかもしれません。しかしこれからは、利便性の高い場所で、そのエリアのニーズに合致した物件でなければ、入居者を安定的に確保するのは困難です。これから不動産投資を実践するのであれば、入居者に選ばれる物件を厳選する「目利き力」に優れた不動産の専門家をパートナーとするのが安心です。金融機関の紹介や入居者の募集、物件の保守・管理などをトータルに支援してくれる不動産会社も数多くあります。まずは信頼できるパートナー選びから始めるのが成功への近道ではないでしょうか