不動産投資が生命保険と同じ役割を果たすことはご存知ですか?
万が一に備えて生命保険の加入を考えている人が、正式の生命保険ではなく不動産投資を選ぶこともあるのです。一見すると両者はまったく無関係のようにも見えますが、なぜ不動産投資が生命保険の代わりになるのでしょう?
今回は「どうして不動産投資が生命保険としての役割も果たすのか」という点について、それから両者の違い、注意すべき点についてご紹介します。

団体信用生命保険の加入で万が一の際にも安心

なぜ不動産投資と生命保険が同じ役割を果たすのかというと、不動産投資をする際に加入できる「団体信用生命保険」があるためです。「団信」と略されますが、いったいこれはどういった保険なのでしょうか。

まずはその具体的な内容と、種類についてしっかりと理解していきましょう。

・団体信用生命保険とはどのような保険か
不動産投資は決して安い買い物ではありません。一括で支払いができる人はほとんどおらず、基本的には何十年という長期のローンを組みながら行っていきます。長い場合は返済期間が30年にも及びます。

その長い返済期間中、不動産投資を行っている人に万が一のことがないとは言い切れません。死亡してしまったり働けなくなったりしてしまったりすることもありえます。その時はその家族が返済をしていくことになりますが、経済的に難しいこともありえます。

そういったリスクを回避するために、団体信用生命保険があります。つまり返済期間中に債務者が死亡したり高度障害になったりした場合、残りの返済を代わりに支払ってもらえる保険なのです。万が一のことがあっても家族は経済的な負担を負わずに済み、さらに家賃など不動産投資から得られる収益も受け取れます。

・団体信用生命保険の種類
通常タイプの団体信用生命保険は、死亡か高度障害を負ったときにのみ保証がされます。しかしもう少し保証される病気の範囲が広いタイプもあります。

3大疾病タイプの団信は、死亡や高度障害に加え、ガン、脳卒中、急性心筋梗塞が保障されるタイプです。支払い金利は通常タイプよりも上がります。

さらに保証される範囲が拡大されているタイプが「8大疾病タイプ」です。こちらはさらに金利を上乗せしてローンを支払っていくことで、3大疾病に加え、糖尿病、高血圧症、肝硬変、慢性膵炎、慢性腎不全にまで保証範囲が広がります。

団体信用生命保険と生命保険の違い

事実上、不動産投資は生命保険代わりにもなっているということがいえます。通常の生命保険との違いは2点です。

・生命保険よりも掛け金が安い
不動産投資の場合は通常の生命保険よりも、保険料が安い傾向があります。なぜなら不動産投資の方は家賃収入があり、その中からローンの返済や保険料を支払えるからです。もちろん保険商品や加入年齢で生命保険の金額はまちまちですが、平均的に10倍ほど保険料が安くなることもあります。

・完済後に「家賃収入」と「不動産」の2つの資産を得られる
また不動産投資は通常の生命保険と異なり、なにもなかった場合でも完済すれば無借金の不動産が残ります。建物の寿命がもって入居者がいるのであれば、その後も家賃収入が見込めます。

生命保険代わりに不動産投資を行う際の注意点

生命保険の役割を担わせながら不動産投資を行っていくという方法は、家賃収入をはじめ、毎月の収益も見込める点も考えると、通常の生命保険よりも優位性は高いといえます。

ですが、注意点がまったくないということはありません。主に以下の3つの注意点をしっかり理解しておくようにしましょう。

①不健康だと加入できない
団体信用生命保険は、生命保険ですので、加入する際に健康状態についてしっかりと申告する必要があります。健康状態が良くない場合は審査が通らず、さらにローン融資も受けられなくなってしまう可能性もあることに注意しましょう。

②カバーできる範囲が狭い
団信は死亡や高度障害という状況で保証されるわけであり、他の病気や事故によって、長期的に働けなくなってしまったような場合には保証されないことはよく注意しておきましょう。不安がある人は、3大疾病タイプ、8大疾病タイプに入ることや、就業不能保険などへの加入も検討しましょう。

③生命保険の見直しが必要
団体信用生命保険への加入を、ローンを組む条件にしている金融機関は多いです。だからローンの返済金の中に、はじめからこの保険料も含まれていて、はっきり明示されていないこともあり、実はこの保険に入っていたことに気づかないままの人もいます。しっかり調べていないと、無駄な保険を払ってしまっている可能性もあるので、今一度チェックしてみましょう。

以上、今回は不動産投資が生命保険代わりにもなる「団体信用生命保険」についてご説明してきました。

生命保険よりも団体信用生命保険の方が総合的に優位性があるといえるでしょう。ただし保証範囲が狭いということや、不動産投資には空室リスクがあり、支出が大きくなってしまう可能性もゼロではありません。それらの注意点もよく踏まえて、あなたにとって最適な選択肢を選ぶようにしましょう。