サラリーマンの方は年末調整を会社でやってもらえるので、普段は確定申告が必要ありませんが、副業の不動産投資で家賃収入があれば確定申告が必要です。

確定申告をうっかり忘れてしまった場合、どのような事態になるのでしょうか。
無申告はもちろん、ミスによる過少申告など、起こりうる状況に関して解説します。
また、確定申告不要のケースもお伝えしておきますので、ぜひ参考にしてください。

無申告の場合は重い追徴課税が生じる

家賃収入の確定申告を忘れてしまって数年間過ごし、税務署の方で気づいたとします。
その場合、過去にさかのぼり、無申告だった家賃収入に対して納税義務が発生します。
それだけで済めばいいのですが、追徴課税として、無申告加算税や延滞税も発生してしまいます。

・追徴課税は無申告分まとめて支払う
無申告加算税は20%追加されます。無申告が数年にわたる場合、それらの分をまとめて支払うことになり、金額はかなりのものになるでしょう。

・自分で気づいて申告すれば延滞金のみ
税務署から指摘される前に自分で気づいて税務署に申告すれば、延滞金のみで済みます。
不注意ということで脱税ではないと見なされるのです。

・税務署が気づくケースは多い
不動産投資をしている方は、多くの場合、管理は不動産管理会社に依頼しています。
この管理会社に税務調査が入り、不動産収入を申告していない人からの管理費支払いがあったとしたら簡単に発覚してしまいます。
第三者からの税務署への情報提供など、あらゆる方法で税務署は無申告を見つけ出してしまうようです。

ミスによる過少申告でもペナルティがある

確定申告を行い、意図的ではなく単純に誤りで過少申告してしまった場合も、ペナルティがあります。
場合によっては10~15%の過少申告加算税の納付が必要となるでしょう。
ミスではなく虚偽の申告と見なされた場合は、35~40%もの重加算税が課されるケースも珍しくありません。

追徴課税だけでなく青色申告の承認が取り消されることもある

家賃収入を申告しないでいると、発覚時点で税金や追徴課税を支払うことになります。
実は、ペナルティは税金だけではありません。
特に投資家にとって痛手になるのは、青色申告承認取り消しと、金融機関の信用を失うことです。

・青色申告のメリットが使えなくなる

確定申告には白色と青色があります。
青色申告は白色申告よりも手間がかかり面倒ですが、白色申告では認められない経費計上が可能です。
青色申告特別控除などもあり、税制面でのメリットは大きいものです。
青色申告は、税務署から青色申告の申請承認を受けた個人や法人が使える申告方法ですので、申告に問題があると、せっかく承認してもらった青色申告が取り消されてしまうこともあります。
この青色申告を取り消されてしまうと、当然、税制面での優遇が得られなくなります。

・青色申告再申請でも使えるのは翌々期から
青色申告が取り消されてしまうと、1年間は再申請できません。青色申告の適用は申請の翌期となるので、どんなに最短でも、翌々期まで青色申告ができなくなるのです。

・金融機関の信用も失う
無申告は金融機関の信用も失います。
不動産投資にあたり、不動産投資ローンを組んでいる方も多いと思われますが、今後の借入に関しても大きな影響が出ることは確実でしょう。

確定申告が必要ない「20万円ルール」

確定申告には一般に「20万円ルール」があります。年間所得が20万円以下の場合、確定申告の必要がなく無申告で問題ないということです。

・副業は家賃収入のみで計算
この場合の年間所得というのは、サラリーマンの方の副業の場合で、給与所得は別になります。
家賃収入のみで、経費を差し引き年間所得が20万円を超えると申告が必要ということです。
家賃収入が年間20万円以上であっても、交通費などの経費で利益が20万円に満たない場合、確定申告はしなくても問題ありません。

・不動産所得が赤字なら確定申告で損益通算
所得額が20万円以下の場合確定申告は不要ですが、赤字の場合は確定申告するべきです。
確定申告で副業の赤字と本業所得の黒字が相殺される損益通算が可能だからです。
損益通算で給与から天引きされている所得税が還付されます。
不動産所得は、物件見学の交通費、不動産投資を勉強するために参加したセミナー費用や資料書籍の購入費用、パソコンの購入費用、不動産業者との交際費などが経費計上できます。
経費を差し引いて20万円を超えるかどうか、赤字かどうかが損益通算の基準です。

家賃収入を申告せず、無申告が発覚した場合、最大40%の重加算税のペナルティが発生します。
無申告の家賃収入がある場合、自ら申告し、過去にさかのぼって納税しましょう。

無申告や過少申告は追徴課税の対象になるだけではありません。
青色申告が取り消され、金融機関の信用を失うリスクもあり、投資家として非常に大きな痛手です。
家賃収入が年間で20万円を超える場合、確定申告をする必要があることを忘れずに覚えておきましょう。