これからマイホーム、物件選びのポイントは何?

日本の課題である人口減少社会や、世界的な課題である持続可能な社会への取り組みの中で、日本の不動産を取り巻く環境は変革を迫られています。現在だと都市圏に人口が流入し地方の過疎化が叫ばれていますが、その先は一つの自治体の中でも地域格差が生まれていくでしょう。
また、従来日本の住宅市場は20~30年程度で建て替える、すなわち資産価値がなくなることを前提にしてきましたが、最近特に、長く安心して暮らせるものへと変わってきています。これからマイホームを考える方が、物件選びを始めるにあたり最も重視したいことは、長い目で見て「資産価値」があるかどうか、と言えそうです。

住みたい街に将来性があるか

少子高齢化による人口構造の変化、自然災害リスク、都市間競争で、各自治体は街の再編成が急務となっています。例えば、筆者の住む愛知県の中心名古屋市では、昨年「なごや集約連携型まちづくりプラン」が策定されました。

これは、2035年を目標に、都市機能、居住を誘導するエリアや誘導する施設を定め、鉄道駅周辺に必要な拠点施設の立地誘導、地域の状況に応じた居住の誘導を進めるというもので、具体的な都市機能誘導地域をマップで示しています。
この都市計画の誘導地域から外れた地域は、行政サービスが行き届かない地域となるため、生活が不便になるだけでなく、不動産としての資産価値も目減りしていきます。

あなたが居住を検討している街で、このような都市計画があるかどうか、一度自治体のウェブサイトや役所でチェックしてみるとよいでしょう。

さらに、住民税や水道料金・子どもの医療費助成などの行政サービスを隣接自治体と比較してみると、現時点のその自治体の財政状況がわかります。家計負担にも直結しますので、こちらもぜひチェックしてみてください。

ミクロな視点からの立地選び

地域のハザードマップや昔の地名など、気にしていますか? 海抜何メートルか、河川が近いか、過去の地震や集中豪雨の被害はどうか、同じ自治体の中でも地域差があります。例えば、水に関する地名が付いていた地域だと地盤が弱いかもしれません。そうなると杭を深く埋める必要があるため、建設費に影響します。

幹線道路や自動車の往来が多い道路が近くにある土地であれば、便利である半面、夜間の自動車の騒音がどの程度か気になります。工場や店舗などの近くであれば、音だけでなく、振動、特有の臭いがあるかもしれません。

このような状況を確認するため、曜日や時間帯を変えて、何度か現地に足を運んでみるといいでしょう。
土地に隣接した建物や周囲に高い建物がある場合、眺望や時間帯による日照の影響も要チェックです。反対に隣接地が空き地であれば、将来そこに建物が立つことで眺望や日照が遮られるかもしれません。

不動産会社や売主に建設予定があるかどうか、予定がない場合でも何階建てまでの建物を建てることが可能か、なども確認しましょう。心配であれば、その土地の所有者を登記簿で確認することもできます。

前面道路と土地の関係も価格に影響し、前面道路が狭小であったり、前面道路より土地が奥まっていて細い路地でつながってたりする場合だと、評価が低くなります(その代り、購入する際も割安になりますが)。

ほかには、近隣との人間関係、犯罪発生の状況、お子さんがいるご家庭なら教育現場の状況はどうかも気になるポイントです。売主だけでなく地域の生の声も拾いたいものです。

省エネや耐震などの資産価値を上げる品質

2000年住宅性能表示制度が誕生し、昨年から中古住宅向けの安心R住宅制度がスタートするなど、国主導で住宅の品質を評価する制度が定着しつつあります。10月1日の消費税増税に伴い、景気の冷え込みを防ぐため、税制優遇制度の拡充など4つの支援策(住宅ローン減税、すまい給付金、次世代住宅ポイント制度、住宅取得等のための資金に係る贈与税非課税措置)が用意されていますが、省エネや耐震など一定の性能を持つ住宅について利用可もしくは好条件で利用可となっています。

参考:国土交通省HP

今後、品質評価されない住宅は、資産価値が見いだせなくなる時代が来るのではないでしょうか。
4つの支援策を上手に利用すると、トータルで見て消費税8%で購入するよりお得になりますので、新築派の方は、そういった点でもぜひ住宅性能表示のある住宅を検討しましょう。

個性的すぎない物件

転勤になる可能性がある、実家の親と暮らす可能性がある、子どもが近い将来家を出る可能性がある、というご家庭であれば、先々売却や賃貸に出すことも視野に入れる必要もあります。そういう点では、個性的な住宅にしないことも大切です。
客観的に見て住んでいい、と思える間取りや仕様、外観にするのも、住宅の資産価値を下げないポイントであると押さえておきましょう。

以上、資産価値を重視した物件選びについてまとめてみました。実際には希望を100%叶えることは難しいもの。ここは譲れないけど、ここは妥協してもいい、という線をご家族で話し合い、納得のマイホームを実現してください。

この記事の監修者

北野 琴奈ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定 CFP®認定者)

津田塾大学卒業後、会社員を経て独立。実践型ファイナンシャル・プランナーとして資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等を行う。TBS「がっちりマンデー!!」「がっちりアカデミー!!」、BS11デジタル「不動産王」、BSジャパン「日経プラス10」、日経CNBC「不動産投資AtoZ」等にコメンテーターとして出演。その他メディア出演・取材協力多数。