不動産投資の利益には、キャピタルゲインとインカムゲインの2種類があります。
どちらの利益を狙うかで税金や対象物件が異なるので、違いをしっかり理解しましょう。

キャピタルゲインとは不動産の売却益

キャピタルゲインとは、不動産が値上がりした時に売却することで得られる利益(売却益)です。たとえば、2,000万円で購入した不動産が3,000万円になったときに売れば、1,000万円のキャピタルゲインを得られます。ただし、不動産価格は下がることもあります。値下がりしたところで売却してしまい、損失が出ることをキャピタルロスといいます。

短期的に不動産価格が大きく上昇しても単純には喜べません。高額の税金がかかるからです。不動産投資のキャピタルゲインは、短期所有と長期所有で税率が大きく異なります。
長期保有(5年以上)の税率は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)と株や投資信託など、ほか4の金融商品と同じです。

しかし、短期所有(5年未満)では、39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)と2倍近い課税となります。短期的に値上がりしても、税金を考えると利益がほとんど残らないこともあるので、短期での不動産売買で利益を出すのは非常に難しいといえるでしょう。短期売買によるキャピタルゲインの税金には注意しましょう。

インカムゲインとは毎月の家賃収入

不動産投資の基本はインカムゲインです。インカムゲインとは、不動産を保有することで安定した賃料を継続的に受け取ることのできる収入のことをいいます。毎月決まった賃料が入ることは不動産投資の大きなメリットです。

日本の景気が多少悪くなっても部屋を借りてくれる人がいる限り、毎月家賃が入ります。また、物件価格ほどの価格の上下がないので、比較的収入が安定しています。

インカムゲインはキャピタルゲインのように短期的に大きく稼げるわけではありませんが、コツコツ積み上げればキャピタルゲイン以上の資産を築くことも可能です。それこそ、5年や10年ではなく、30~50年と子ども・孫の代まで持ち続ければ、莫大なインカムゲインを得ることができます。

インカムゲインを効果的に得るためには、入居率の高い物件を選ぶことが大切です。都市部や駅に近いなど、人口が増えている地域を選ぶようにしましょう。

不動産投資の利回り

一般財団法人日本不動産研究所の不動産投資家調査によると、不動産投資の期待利回りは4~6%となっています。期待利回りとは、投資家が不動産物件に期待できる利回りで、これまでの経験から独自に算出した数値です。

投資物件の売買情報などで、利回り10%以上と書かれていても、実際に購入して運用してみたら思ったより収入が少なかったということが往々にしてあります。
それは、不動産投資の利回りの概念には、「表面利回り」と「実質利回り」の二つがあるからです。個別に説明していきます。

表面利回り

表面利回りとは、物件価格に対してどの程度の家賃収入が得られるかという数値です。収益不動産のサイトなどでは、この表面利回りが表示されています。計算式は以下の通りです。

【表面利回り=年間の家賃収入 ÷ 物件価格 × 100】

ただし、年間の家賃収入とは、「満室」を想定しています。アパートやマンションの1棟買いなどでは空室が発生することもあるので、利回りが保証されているわけではありません。

さらに、不動産投資には経費がかかるので、実際の手取り額は経費を差し引いた「実質利回り」で考える必要があります。

実質利回り

不動産の経費には以下のようなものがあります。

・固定資産税
・都市計画税
・管理費
・修繕積立金
・保険料
など

これらの経費を考慮した利回りが実質利回りです。計算式は次の通りです。

【実質利回り=(年間家賃収入―年間経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)× 100】

年間の経費は年ごとに変わる可能性が高いので、不動産業者が物件の広告を行う際には表面利回りを使います。ですから、表面利回りをまず見て、その後に実質利回りを自分で計算して物件の目利きをすることが必要です。

キャピタルゲインとインカムゲインを合わせて考える

不動産投資の基本はインカムゲインですが、いい物件を安く買えることができればキャピタルゲイン(売却益)を得ることも可能です。
戦後から1980年代後半から1990年ころのバブル期まで、日本の地価は右肩上がりに上昇。そのため、キャピタルゲインを狙った投資で大きな利益を得ることができました。しかし現在では、いい物件をいかに相場よりも安く購入できるかがとても重要です。どんな土地でも値上がりする時代は終わったからです。

不動産投資で成功するためには、不動産を所有し続けたらいいのか、売却してキャピタルゲインを得て他の物件を購入したほうがいいのかの見極めが必要になります。
インカムゲインで安定的な家賃収入を第一にしながらも、立地条件がいい物件を購入し、適切な管理・運営によってキャピタルゲインを得られる可能性も考えておくようにしましょう。

毎月のインカムゲインを得ながら、キャピタルゲインを得る可能性もある立地条件のいい物件を選ぶことができるようになれば、立派な不動産投資家だといえます。
しかし、両方狙えるような理想的な物件を見つけるのは非常に難しいので、まずは安定した家賃収入が入る物件を選ぶようにしましょう。