堅実に資産形成を目指すには投資信託選びが重要

日本は低金利が続いており、銀行預金だけで資産を増やすのは難しくなっています。堅実に資産形成を目指すなら、投資信託で資産運用するのがおすすめです。投資信託は元本割れするリスクがありますが、資産や地域を分散して積立投資を長期間続けると、元本割れする可能性は低くなります。金融庁の資料によると、資産・地域を分散して積立投資を行った場合、保有期間5年では元本割れが発生していますが、保有期間20年では元本割れの発生頻度はゼロになります。

また、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)など、投資信託を非課税で運用できる制度を活用すると、より効率的に資産形成できます。ただし、どんな投資信託でも良いわけではなく、資産形成に適した投資信託を選ぶことが重要です。ここでは、資産形成におすすめの投資信託の種類や証券会社、投資信託を選ぶときに確認すべき6つのポイントについて解説します。

資産形成にはインデックスファンドがおすすめ

投資信託で資産形成を目指すなら、インデックスファンドがおすすめです。インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など、特定の指数に連動する運用成果を目指す投資信託です。日経平均株価に連動するインデックスファンドなら、日経平均株価が値上がりするとそのファンドの基準価額も同じように値上がりします。インデックスファンドのメリットは以下の通りです。

  • 運用コストが安い
  • 仕組みがシンプルでわかりやすい
  • 流行がないので長期投資に適している

インデックスファンドは指数に連動するように投資銘柄を組み入れるだけなので、運用コストが安く設定されています。運用成果がわかりやすく、投資テーマが古くならないため、安心して長期保有できます。

投資信託はネット証券で購入する

投資信託はネット証券で購入するのがおすすめです。投資信託は銀行や店舗型の証券会社でも購入できます。しかし、手数料が高い商品が多く、窓口で購入すると高コストの商品を勧められる可能性があります。一方、ネット証券は店舗を持たないので手数料が安く、営業を受ける心配もありません。昼間は仕事がある方でも、ネット証券なら平日の夜や休日にインターネットから注文できるので便利です。

投資信託を選ぶときに確認すべき6つのポイント

資産形成に適した投資信託を選ぶには、どのような点に注目すればよいのでしょうか。ここでは、投資信託を選ぶときに確認すべき6つのポイントを紹介します。

①つみたてNISAの対象であること

つみたてNISAでは、金融庁が長期投資に適した投資信託を厳選しています。日本では6,000本以上の投資信託が販売されていますが、2018年10月31日時点で、つみたてNISAの対象は159本(ETFを除く)しかありません。つみたてNISAの対象銘柄は「信託期間が無期限または20年以上」「毎月分配型でない」など、長期の積立・分散投資に適した投資信託に限定されているので安心して購入できます。

②投資対象

投資信託を選ぶときは、どのような資産を投資対象にしているかを確認することも大切です。インデックスファンドでも国内外の株式、債券、不動産など、投資対象によってさまざまな種類があります。金融庁の資料によると、1995年から2015年までの20年間に毎年同額を投資した場合、投資対象別の累積リターン(実績)は以下のようになります。

  • 国内の株、債券に半分ずつ投資:+38.0%(年平均+1.9%)
  • 国内、先進国、新興国の株、債券に1/6ずつ投資:+79.9%(年平均+4.0%)

投資先を分散するとリスク軽減効果も期待できるため、国内外の株式・債券に幅広く投資するのがおすすめです。複数の投資信託を購入するのが面倒な場合は、1本で複数の資産クラスに投資できるバランスファンドを選ぶ方法もあります。

③信託報酬

信託報酬とは、投資信託の運用・管理にかかる費用のことで、投資信託を保有している間は毎日運用資産から差し引かれます。たとえば、信託報酬が年率1%の投資信託を100万円保有する場合、運用資産から差し引かれる信託報酬は年間1万円(100万円×1%)です。信託報酬が低い投資信託を選ぶほうが、長期で資産形成に取り組むには適しています。インデックスファンドの場合、信託報酬が年率0.2%未満の銘柄を選ぶのがおすすめです。

④販売手数料

販売手数料とは、投資信託を購入するときに証券会社や銀行などに支払う手数料です。投資信託の販売手数料は、ノーロード型と呼ばれる無料の銘柄もあれば、購入金額の3%程度かかる銘柄もあります。堅実に資産形成を目指すなら、販売手数料が無料かどうかを確認しましょう。

⑤信託財産留保額

信託財産留保額とは、保有中の投資信託を満期前に解約するときに運用資産から差し引かれる費用です。信託報酬と同じように、解約する資産から差し引かれます。一般的には0.3%程度ですが、無料の投資信託も多いです。投資信託を購入するときは、信託財産留保額が無料の銘柄を選びましょう。

⑥純資産総額

純資産総額は、運用資産に組み入れられている株式や債券などの時価総額のことで、投資信託の規模を表します。投資家からの資金が集まっている投資信託ほど、純資産総額は大きくなります。純資産総額が少ないと効率的な運用ができなくなるため、繰上償還(運用終了)のリスクがあります。投資信託を購入するときは、最低でも純資産総額が30億円以上の銘柄を選びましょう。

投資信託は、株式投資やFX、仮想通貨のように短時間で利益を得られるものではなく、長期間運用することによって堅実に利益を狙う運用方法です。人生100年時代とも呼ばれる昨今、「時間」を味方につけて行う投資信託は、非常に理に適った手段だと言えるでしょう。